保護主義の壁を越え、多角的貿易体制の維持・強化を – WTO事務局長とクロアチア首相の会談から考える
5月21日、ナイジェリア出身のンゴジ・オコンジョ=イウェアラWTO事務局長とクロアチアの アンドレイ・プレンコビッチ首相との会談が行われた。この会談は、多角的貿易体制の重要性を改めて認識し、その維持・強化に向けた具体的な方策を議論する上で、重要な意義を持つ。
近年、世界経済は保護主義の台頭や地政学的リスクの高まりなど、様々な課題に直面している。特に、一部の先進国が自国産業の保護を目的とした関税の引き上げや、貿易制限措置の発動を繰り返すことで、グローバルなサプライチェーンが混乱し、世界経済の成長を阻害する要因となっている。
このような状況下で、WTOの役割はますます重要になっている。WTOは、多角的貿易交渉の場を提供し、貿易紛争の解決メカニズムを整備することで、自由で公正な貿易環境を維持する役割を担っている。しかし、その機能は十分に発揮されているとは言い難い。紛争解決手続きの停滞や、新たな貿易ルール策定の遅れなど、多くの課題を抱えているのが現状だ。
今回の会談で、オコンジョ=イウェアラ事務局長とプレンコビッチ首相は、WTO改革の必要性を確認し、その推進に向けて協力することで合意した。これは、多角的貿易体制の維持・強化に向けた大きな一歩と言える。特に、中小企業がグローバル市場で活躍できるよう、貿易円滑化の推進やデジタル貿易に関するルール整備の重要性を強調した点は注目に値する。
日本もまた、自由貿易の恩恵を受けて経済成長を遂げてきた国として、多角的貿易体制の維持・強化に積極的に貢献していくべきだ。WTO改革への主導的な関与はもちろんのこと、EPA（経済連携協定）やFTA（自由貿易協定）などの地域貿易協定を通じて、貿易の自由化を推進することも重要である。
我々学生は、グローバル化がもたらす恩恵と課題を理解し、多角的貿易体制の重要性を認識する必要がある。そして、将来の社会を担う者として、自由で公正な貿易環境の実現に向けて、積極的に行動していくことを望む。WTO改革の行方を注視し、多角的貿易体制の維持・強化に向けた議論に積極的に参加していくことが、我々に課せられた責務である。
（学生新聞編集部）
ナイジェリア出身のWTO事務局長、クロアチア首相を歓迎！その背景と意味,WTO
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