食料安全保障の足元を固めよ – 岩手県産小麦の順調な生育に寄せて
岩手県からの明るいニュースが届いた。来年5月収穫予定の小麦の生育が順調であるという。世界的な食料需給の逼迫が懸念される昨今、国産小麦の安定供給は国民生活を支える上で極めて重要であり、関係者の尽力に敬意を表したい。
しかしながら、現状に甘んじることは許されない。食料自給率の向上は長年叫ばれ続けているものの、依然として低い水準に留まっている。小麦においては、その多くを輸入に頼らざるを得ない状況だ。国際情勢の不安定化は、輸入価格の高騰や供給途絶のリスクを高め、国民生活に直接的な影響を及ぼす。
今回の岩手県産小麦の順調な生育は、国内生産の可能性を示すものである。これを機に、政府は国内小麦生産の拡大に向けた具体的な政策を早急に打ち出すべきだ。
具体的には、以下の３点を提言する。
第一に、生産農家への支援拡充である。後継者不足や高齢化が進む農家の負担を軽減するため、技術指導の強化や機械導入への補助金支給など、経営を安定させるための支援策を講じる必要がある。
第二に、新品種の開発と普及である。気候変動に強く、収量性の高い品種の開発は、安定生産に不可欠である。研究機関への投資を拡大し、早期の実用化を目指すべきだ。
第三に、需要喚起策の強化である。国産小麦の品質の高さを消費者に理解してもらい、消費拡大を図ることは、生産者のモチベーション向上に繋がる。地産地消の推進や、国産小麦を使用した製品の積極的なPRなど、多角的な取り組みが必要である。
食料安全保障は、国家の安全保障の根幹を成すものである。今回の朗報を契機に、政府、生産者、そして国民一人ひとりが、食料自給率向上に向けた意識を高め、具体的な行動に移していくことを強く望む。
岩手県からのお知らせ：小麦の生育は順調？ 赤かび病には要注意！（2025年5月9日）,いわてアグリベンチャーネット
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