デジタル庁、地方自治体システム連携支援：霞が関発の号令だけでは「絵に描いた餅」となる懸念
デジタル庁が地方自治体のシステム連携を支援するという。聞こえは良いが、一抹の不安を禁じ得ない。これまでも政府主導のデジタル化政策は、現場のニーズとの乖離、縦割り行政の弊害、そして何より「使いにくさ」という三重苦によって、その効果を十分に発揮してきたとは言い難いからだ。
今回のシステム連携支援も、単なる「システムの繋ぎ合わせ」で終わっては意味がない。地方自治体は、それぞれ異なる歴史、文化、そして住民ニーズを抱えている。それらを無視した一律的なシステム導入は、現場の混乱を招き、かえって業務効率を悪化させる可能性すらある。
特に懸念されるのは、セキュリティ対策の甘さだ。地方自治体が抱える個人情報は、国民生活の根幹に関わる極めて重要な情報である。ひとたびサイバー攻撃を受ければ、その影響は計り知れない。デジタル庁は、システム連携の過程で、セキュリティ対策を徹底し、万全の体制を構築する必要がある。
さらに、地方自治体の財政負担も考慮すべきだ。システム導入には、初期費用だけでなく、維持費、運用費など、多額の費用がかかる。デジタル庁は、地方自治体の財政状況を十分に把握し、無理のない範囲でシステム連携を支援するべきだ。補助金制度の拡充はもちろん、システムの共同利用やクラウド化など、コスト削減につながる様々な手段を検討する必要がある。
今回のシステム連携支援が成功するかどうかは、デジタル庁の「現場主義」にかかっていると言えるだろう。霞が関の机上で考えられた理想論ではなく、地方自治体の声に耳を傾け、共に汗を流し、共に課題を解決していく姿勢が求められる。
地方創生を掲げるならば、地方自治体の自主性を尊重し、それぞれの個性と強みを活かせるシステムを構築すべきだ。そのためには、デジタル庁だけでなく、総務省、経済産業省など、関係省庁が連携し、横断的な視点から取り組む必要がある。
今回のシステム連携支援が、真に地方自治体のデジタル化を推進し、住民サービスの向上に貢献することを期待する。しかし、これまで繰り返されてきた「絵に描いた餅」となることだけは、絶対に避けなければならない。デジタル庁には、その覚悟と実行力を見せてほしい。
デジタル庁、地方自治体のシステム連携を応援！令和7年度の支援業務を公募開始,デジタル庁
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