社説：医療化される女性器切除、根絶への警鐘を
女性器切除（FGM）は、女性の人権と尊厳を著しく侵害する行為であり、断じて容認できない。国際的な取り組みの結果、FGMの実施率は低下傾向にあるものの、依然として世界中で多くの女性が苦しんでいる現実を直視しなければならない。
とりわけ、近年深刻化しているのが、医療従事者によるFGMの「医療化」である。本紙が注目する記事（https://itb.co.jp/2025/04/29/one-in-four-female-genital-mutilation-cases-now-carried-out-by-health-workers-women/）が示すように、現在ではFGMの4分の1が医療従事者によって行われているという。これは、FGMが伝統的な儀式としてのみならず、医療行為として正当化されつつあることを示唆しており、極めて憂慮すべき事態だ。
医療従事者は、人々の健康と福祉を守るべき立場にある。その医療従事者が、FGMという有害な慣習に手を染めることは、医療倫理に反するだけでなく、FGM根絶に向けた努力を大きく後退させる行為と言わざるを得ない。
「医療化」の背景には、FGMが根強く残る地域において、安全な環境でFGMを受けさせたいという親の意向や、医療行為としてFGMを行うことで、より「衛生的」であるという誤った認識があると考えられる。しかし、いかなる理由があろうとも、FGMは女性の心身に深刻な影響を与える行為であり、正当化されるものではない。
FGMの根絶には、社会全体での意識改革が不可欠である。政府、国際機関、NGOは、FGMの有害性に関する啓発活動を強化するとともに、FGMを行っている医療従事者に対する取り締まりを強化すべきである。
また、FGMの被害者に対する医療的・心理的なサポート体制の充実も急務である。被害者が安心して相談できる窓口を設置し、必要なケアを提供することで、彼女たちの苦しみを軽減し、社会復帰を支援する必要がある。
本紙は、FGM根絶に向けた取り組みを継続的に報道し、社会の意識を高めることで、すべての女性が尊厳を持って生きられる社会の実現を目指す。FGMは過去の遺物ではなく、現在進行形の人権侵害であることを認識し、我々一人ひとりが行動を起こすべき時である。
One in four female genital mutilation cases now carried out by health workers, Women
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