【社説】愛らしい「LOVOT」導入、動物園の新たな可能性と課題
熊本市動植物園が家庭用ロボット「LOVOT（らぼっと）」を導入するという。愛らしい外見と温もりある触感を持つLOVOTは、来園者に癒やしと触れ合いの機会を提供するという点で、動物園の新たな可能性を拓くものとして歓迎したい。
近年、動物愛護の精神の高まりから、動物園のあり方が問われている。限られた空間での飼育は動物のストレスにつながり、本来の生態を逸脱させてしまうという批判は根強い。その点、LOVOTは動物を傷つけることなく、来園者に「ふれあい」を提供できる点で、動物園の役割を再定義する試みとして評価できる。
しかし、懸念すべき点もある。LOVOTはあくまでロボットであり、生命を持たない。動物との触れ合いを通じて育まれる命への慈しみや、自然への畏敬の念を、LOVOTが代替できるとは考えにくい。安易なロボット導入は、生命の尊さを軽視し、動物園が本来持つべき教育的機能を損なう恐れもある。
また、LOVOTの導入・維持には相応の費用がかかる。その費用対効果を検証し、動物福祉の向上や飼育環境の改善といった、より優先度の高い課題への投資を疎かにしてはならない。
熊本市動植物園には、LOVOT導入の意義を十分に検証し、動物園が本来持つべき役割を再認識した上で、慎重に運用していくことを期待する。LOVOTが単なる話題作りで終わらず、動物園の新たな可能性を拓く一助となることを願う。そして、何よりも動物たちの福祉が第一に考えられるべきであることを、改めて強調したい。
熊本市動植物園に愛らしい仲間入り！LOVOT（らぼっと）がやってきた♪, 熊本市動植物園
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