大阪公立大学の「レジリエントな都市」研究に期待、産学連携で強靭な都市づくりを加速せよ
大阪公立大学が「レジリエントな都市（まち）」に関する研究拠点を設立するというニュースは、日本経済が直面する喫緊の課題に対する重要な一歩を示唆している。近年、激甚化する自然災害や感染症のパンデミック、地政学リスクの高まりなど、企業活動や市民生活を脅かす要因は枚挙にいとまがない。こうした状況下で、都市の強靭性を高める「レジリエンス」の概念は、持続可能な経済成長を実現するための不可欠な要素として、その重要性を増している。
大阪公立大学の研究拠点が目指すのは、まさにこのレジリエンスの強化だ。気候変動による影響、高齢化の進展、産業構造の変化といった多岐にわたる課題に対し、学術的な知見に基づいた解決策を提示し、都市の持続可能性を高めることを目的としている。特に注目すべきは、データ駆動型アプローチと、地域社会との連携を重視する姿勢だ。最新のテクノロジーを活用し、都市の脆弱性を可視化し、地域住民のニーズに合致した対策を講じることで、実効性の高いレジリエンス強化策を構築することが期待される。
しかし、大学の研究だけでは、真にレジリエントな都市を実現することは難しい。ここで重要なのは、企業との連携、すなわち産学連携の強化だ。企業は、革新的な技術やノウハウ、そして資金力を持つ。大学の研究成果を社会実装するためには、企業の積極的な参画が不可欠である。例えば、建設業界であれば、耐震・免震技術や防災設備の開発、エネルギー業界であれば、再生可能エネルギーの導入や分散型エネルギーシステムの構築、IT業界であれば、災害時の情報伝達システムや避難誘導アプリの開発など、各業界が持つ強みを活かすことで、レジリエントな都市づくりに大きく貢献できるはずだ。
政府も、こうした産学連携を積極的に支援すべきである。研究開発費の助成、税制優遇措置、規制緩和など、企業がレジリエンス関連事業に参入しやすい環境を整備することが重要だ。また、地方自治体も、大学や企業と連携し、地域の実情に合わせたレジリエンス強化計画を策定し、実行に移していく必要がある。
レジリエントな都市づくりは、単なる防災対策にとどまらない。それは、新たな産業の創出、雇用の拡大、そして生活の質の向上にもつながる。大阪公立大学の研究拠点を核として、産学官が連携し、レジリエンスをキーワードとした新たな成長戦略を描くことで、日本経済は再び活力を取り戻すことができるはずだ。今こそ、レジリエンスへの投資を未来への投資と捉え、大胆な政策を推進していくべきである。
大阪公立大学が「レジリエントな都市（まち）」をテーマにしたフォーラムを開催！未来の街づくりを一緒に考えよう, 大阪公立大学
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