愛媛の歴史遺産保存と観光振興、両輪での発展を
愛媛県には、豊かな歴史と文化を物語る貴重な遺産が数多く存在する。伊予国府跡をはじめとする古代の史跡、松山城に代表される近世の城郭、そして遍路道といった文化的な道など、先人たちの息吹を感じさせるこれらの遺産は、我々にとってかけがえのない宝である。
今般、県がこれらの遺産を観光資源として活用し、地域経済の活性化を図る動きを加速させていることは、大いに評価できる。しかし、観光振興と遺産保護は、決して二律背反の関係ではない。むしろ、両者は互いに補完し合い、相乗効果を生み出すべきものである。
観光客誘致に力を入れるあまり、遺産の保存がおろそかになることは、本末転倒と言わざるを得ない。遺産は、一度破壊されれば二度と元には戻らない。目先の経済効果に目を奪われ、将来に禍根を残すようなことがあってはならない。
県には、遺産の価値を深く理解し、適切な保存措置を講じる責任がある。そのためには、専門家による調査研究を徹底し、保存計画を策定することが不可欠である。また、地域住民の理解と協力を得ることも重要である。遺産は、地域住民の誇りであり、アイデンティティの源泉でもある。保存活動への積極的な参加を促し、共に遺産を守り育てていく体制を構築すべきである。
観光客に対しては、遺産の歴史的背景や文化的意義を丁寧に解説し、単なる観光名所としてではなく、歴史と文化に触れる場として認識してもらう必要がある。ボランティアガイドの育成や、多言語対応の強化なども検討すべきであろう。
愛媛県には、豊かな自然と温暖な気候、そして何よりも、先人たちが築き上げてきた歴史と文化がある。これらの貴重な遺産を大切に守り、次世代に引き継いでいくことこそが、我々の使命である。観光振興は、そのための手段の一つに過ぎないことを忘れてはならない。
県には、遺産保護と観光振興の両立を目指し、持続可能な地域社会の実現に向けて、より一層の努力を期待したい。そして、我々国民一人ひとりも、愛媛の歴史遺産に対する理解を深め、その保存と活用に貢献していくべきである。
愛媛の歴史を彩る遺跡たちを、優しいまなざしで描く。歴博で早川和子氏原画展、開催決定！, 愛媛県
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