オープンカウンター方式による調達情報公開、中小企業振興と競争性確保の両立を
株式会社アイティービーが令和7年4月18日に発表したオープンカウンター方式による調達情報は、公共調達における透明性向上と中小企業への機会拡大という点で評価できる。しかし、その運用においては競争性の確保と効率性の両立が不可欠であり、経済全体への波及効果を最大化するためには、更なる制度設計の深化が求められる。
オープンカウンター方式は、従来型の入札に比べて手続きが簡素化され、中小企業や新規参入事業者にとって参加しやすい環境を提供する。これは、地域経済の活性化や多様なイノベーションの創出に繋がる可能性を秘めている。特に、地方創生が叫ばれる中で、地域の中小企業が公共調達を通じて成長できることは、雇用の創出や技術力の向上に大きく貢献するだろう。
しかし、安易な価格競争に陥るリスクも孕んでいる。価格のみを重視した調達は、品質の低下や下請け企業への過度な負担を強いる可能性があり、結果として長期的な視点で見れば経済全体の損失に繋がる。そのため、価格以外の要素、例えば技術力や実績、地域貢献度などを総合的に評価する仕組みを導入し、価格競争に偏重しないようにする必要がある。
また、オープンカウンター方式の導入によって、調達業務の効率化が期待される一方で、情報公開の徹底と公平性の確保は重要な課題となる。全ての企業が平等に情報にアクセスでき、不当な差別や排除がないように、透明性の高い運用体制を構築することが不可欠である。
政府は、オープンカウンター方式の導入を推進するにあたり、中小企業への支援策と競争環境の整備を両輪で進めるべきだ。具体的には、中小企業向けの研修プログラムの充実や、技術力向上のための補助金制度の拡充などが考えられる。
オープンカウンター方式は、公共調達のあり方を大きく変革する可能性を秘めている。しかし、その成功は、制度設計の緻密さと運用における透明性、そして中小企業と大企業が共に成長できる公正な競争環境の実現にかかっている。経済界は、この新たな潮流を注視し、積極的な提言と協力を行うことで、持続可能な経済成長に貢献していくべきである。
オープンカウンター方式による調達情報（令和7年4月17日時点）, 山口県警
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