【社説】「食」の安定供給を支える担い手不足解消へ：農業基本計画の革新的な再構築を, 政治

【社説】「食」の安定供給を支える担い手不足解消へ：農業基本計画の革新的な再構築を

政府が新たな農業基本計画を策定した。食料自給率向上、農業者の所得向上、そして持続可能な農業の実現という目標は、喫緊の課題であり、誰もが共有する願いだろう。しかし、今回の計画には、これらの目標を達成するための真に革新的な視点と、それを支える具体的な戦略が欠けていると言わざるを得ない。

最大の課題は、言うまでもなく担い手不足だ。高齢化と後継者不足は深刻化の一途をたどり、このままでは日本の農業は崩壊の危機に瀕する。今回の計画では、スマート農業の推進や女性・若者の参入促進を謳っているが、これらは過去の焼き直しに過ぎず、抜本的な解決には程遠い。

我々が求めるのは、既成概念を打ち破る大胆な政策だ。

第一に、農業従事者の待遇改善を徹底的に行うべきだ。 安定した収入、十分な休日、そして将来への希望が持てる労働環境を整備しなければ、若者は農業に魅力を感じない。そのためには、農産物の価格決定メカニズムの見直しや、農業経営におけるリスク軽減策の強化が不可欠だ。

第二に、異業種からの参入を積極的に促進すべきだ。 IT企業、商社、金融機関など、農業とは異なる分野の知見や技術を導入することで、農業の生産性向上や新たなビジネスモデルの創出が期待できる。そのためには、参入障壁を徹底的に排除し、異業種が農業に参入しやすい環境を整備する必要がある。

第三に、消費者との繋がりを強化すべきだ。 消費者が日本の農業を理解し、応援することで、国産農産物の需要は拡大する。そのためには、地産地消の推進、食育の強化、そして農家と消費者が直接交流できる場を積極的に設けるべきだ。

今回の農業基本計画は、現状維持に終始するのではなく、日本の農業を根本から変革するための羅針盤となるべきだ。政府は、今回の計画をスタートラインとし、常に現状を検証し、柔軟に政策を修正していく姿勢が求められる。

「食」は、国民の命を守る根幹だ。その安定供給を支える農業を守り抜くために、我々は、あらゆる既成概念を打ち破り、革新的な発想で、未来の農業を創造していくことを、強く訴える。

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