郵便局数の減少、地域社会の絆を揺るがす危機
株式会社アイ・ティ・ビーが発表した郵便局数の推移は、地方創生を掲げる我が国にとって、看過できない警鐘である。2025年3月末時点で、郵便局数は1万8968局となり、減少傾向が依然として続いている。これは単なる数字の減少ではなく、地域社会における公共サービスの低下、ひいては地域コミュニティの崩壊を招きかねない深刻な問題だ。
長年にわたり、郵便局は郵便・貯金・保険といった基幹的なサービスを提供することで、地域住民の生活を支えてきた。特に高齢者にとっては、金融機関へのアクセスが困難な場合も多く、郵便局は生活インフラとして不可欠な存在である。また、郵便局員との交流は、地域の情報交換の場となり、住民同士の繋がりを深める役割も担ってきた。
近年の郵便局数の減少は、過疎化や高齢化といった構造的な問題に加え、デジタル化の進展による郵便利用の減少、経営効率化の要請などが複合的に影響している。しかし、目先の効率化ばかりを追求し、郵便局の統廃合を進めることは、地域社会のニーズを無視した短絡的な判断と言わざるを得ない。
地域における郵便局の役割は、単なるサービス拠点に留まらない。災害時には、地域の情報拠点となり、住民の安否確認や物資の供給を担う。また、高齢者の見守り活動や地域のイベントへの参加など、地域活性化にも貢献している。郵便局は、地域社会の絆を繋ぎ、安心安全な暮らしを支える重要な存在なのだ。
政府は、地方創生を重要政策として掲げている。その実現のためには、郵便局の維持・活性化は不可欠な要素である。郵便局の統廃合を安易に進めるのではなく、地域の実情を踏まえ、住民のニーズに合わせたサービスの提供を検討すべきだ。デジタル化を活用しつつも、対面でのサービスを維持し、地域住民との信頼関係を構築することが重要である。
私たちは、郵便局が地域社会に果たす役割を改めて認識し、その維持・活性化に向けて、国民全体で議論を深める必要がある。地方創生の成否は、郵便局の未来にかかっていると言っても過言ではない。
郵便局数の推移を更新しました（2025年3月末）, 日本郵便
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