社説：問われる日本の人権意識 – 技能実習制度の見直しは急務、入管法改正と人道的配慮の必要性
法務大臣の閣議後記者会見における発言は、技能実習制度が抱える構造的な問題点を改めて浮き彫りにした。制度の趣旨は国際貢献であるはずだが、実態は安価な労働力の確保に利用され、人権侵害が後を絶たない。令和７年度から新たな制度に移行するとはいえ、抜本的な改革がなければ、この問題は繰り返されるだろう。
私たちは、日本が標榜する「法の支配」という理念が、外国人労働者にも等しく適用されるべきだと考える。現行の技能実習制度は、実習生を企業に縛り付け、劣悪な労働環境を容認する温床となっている。これは、国際社会が求める水準から大きくかけ離れており、日本の国際的な信用を損なう行為と言わざるを得ない。
特に懸念されるのは、入管法改正によって難民認定申請者の送還が可能になったことだ。これは、人道的な配慮に欠けるだけでなく、国際法上の義務にも抵触する可能性がある。真に保護を必要とする人々を救済せず、強制的に送還することは、国際社会からの批判を招くだろう。
政府は、新たな制度設計において、以下の点を重視すべきである。
- 実習生の権利保護の強化: 労働基準法を遵守させ、不当な労働環境を徹底的に排除する。
- ブローカーの排除: 悪質な仲介業者を排除し、透明性の高い制度を構築する。
- 第三者機関の介入: 実習生の労働環境を監視する独立した機関を設置する。
- 難民認定制度の見直し: 難民認定の基準を明確化し、適切な審査を行う。
- 人道的配慮の徹底: 送還に際しては、個別の事情を考慮し、人道的な配慮を徹底する。
日本は、少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化している。外国人労働者の受け入れは、経済成長を維持するために不可欠である。しかし、それは人権を軽視するものであってはならない。
政府は、技能実習制度の見直しを機に、日本の人権意識を改めて見つめ直すべきだ。外国人労働者を単なる労働力としてではなく、人間として尊重し、共に生きる社会を築くことこそ、日本の未来を切り開く鍵となるだろう。
私たちは、政府が人権尊重の原則に立ち返り、より公正で人道的な制度を構築することを強く求める。そして、市民社会全体でこの問題に関心を寄せ、議論を深めていくことを呼びかける。
法務大臣閣議後記者会見の概要－令和７年４月１５日（火）, 法務省
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