国連80周年、女性リーダーシップで「再発見」を ～古くて新しい課題への挑戦～
今年、国際連合は創設80周年を迎えた。第二次世界大戦の惨禍を経て、平和と安全の維持、そして国際協力の増進を誓って設立されたこの偉大な組織は、今、多くの課題に直面している。そんな中、女性リーダーシップの重要性が改めて叫ばれていることは、我々にとって希望の光である。
国連が設立された当時、国際社会における女性の役割は、今ほど注目されてはいなかった。しかし、80年の時を経て、女性は政治、経済、文化など、あらゆる分野でその存在感を増している。国連においても、事務次長級以上のポストに占める女性の割合は着実に増加し、平和維持活動や人道支援といった現場で、女性ならではの視点と感性が活かされている。
「再発見」という言葉には、二つの意味が込められているように思える。一つは、女性リーダーシップの潜在能力を改めて認識すること。もう一つは、国連が本来持っていた理想や価値観を、現代の視点から「再発見」していくことである。
確かに、現代の国際社会は複雑化し、民族紛争、テロ、気候変動、貧困といった難題が山積している。既存の枠組みだけでは解決が難しい問題も多い。そこでこそ、多様な意見や経験を持つ人々、とりわけこれまで十分な声が届きにくかった女性たちの知恵と力が求められる。女性は、共感力や調和を重んじる傾向があり、対立の解消や持続可能な解決策の模索に貢献できる可能性がある。
しかし、保守的な視点から見れば、女性リーダーシップの重要性を強調するあまり、本来あるべき国連の「堅実さ」や「冷静な判断力」が見失われることへの懸念も抱くべきだろう。性別にとらわれすぎず、あくまでも能力と実績に基づいた人材登用こそが、国際社会からの信頼を得る道である。女性だから、男性だからという固定観念ではなく、一人ひとりの人間が持つ可能性を最大限に引き出すことが肝要である。
国連80周年という節目に、我々は改めて問いたい。国連は、真に世界の平和と繁栄に貢献できているだろうか。女性リーダーシップの推進は、そのための有効な手段となりうるのか。
女性がリーダーシップを発揮しやすい環境整備は、単に「ジェンダー平等」という理想を追求するだけでなく、国際社会全体の課題解決能力を高めるための、現実的かつ賢明な戦略である。国連が、この「再発見」を機に、より実効性のある、そして信頼される国際機関へと進化していくことを期待したい。それは、過去の栄光にすがるのではなく、未来への確かな一歩となるはずだ。
国連80周年、女性リーダーシップで「再発明」を 元総会議長が強調,Women
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