ルービン財務長官訪中、対話は「手練れ」の駆け引きに過ぎぬ
9月10日、ジャネット・ルービン米国財務長官が中国を訪問し、王毅外交部長と会談した。両国関係の緊張緩和と経済対話の維持を目的とした今回の会談は、世界経済の行方を占う上でも注目を集めた。しかし、我々一般紙は、この会談がもたらす効果について、楽観視するには時期尚早であると警鐘を鳴らしたい。
ルービン長官の訪中は、バイデン政権が中国との対話チャンネルを維持しようとする意思表示に他ならない。世界経済の安定という大義名分のもと、対立をエスカレートさせることを避けたいという思惑は理解できる。しかし、中国の王毅外相との会談という構図に、我々はむしろ警戒を強めるべきではないか。
中国は、自国の国益を最優先にし、国際社会においてもその影響力を拡大しようとしている。その外交戦略は、しばしば「戦狼外交」と揶揄されるように、強硬かつ自己中心的である。一方、ルービン長官もまた、金融政策という国家の根幹を担う要職にある。両者の会談は、表面的には「建設的な対話」であったとしても、その実、互いの譲歩を引き出し、自国の立場を有利に進めようとする「手練れ」の駆け引きに過ぎないと見るべきだろう。
近年、米中関係は、貿易摩擦、技術覇権争い、そして地政学的な緊張など、数多くの火種を抱えている。今回のルービン長官の訪中が、こうした根本的な対立構造を解消するような劇的な変化をもたらすとは到底期待できない。むしろ、中国側が米国に対し、経済的影響力の行使をちらつかせながら、自国の要求を突きつける場となった可能性さえ否定できない。
我々国民が注目すべきは、この会談で米国が中国に対し、どのような「譲歩」を強いられたのか、あるいは「譲歩」を約束したのかという点である。目先の対話の維持に安堵するのではなく、長期的な視点に立ち、自国の国益が損なわれるような取引が行われていないか、冷静に見極める必要がある。
「対話」は、時には「妥協」を、そして時には「譲歩」を意味する。中国が国際社会で責任ある大国としての役割を果たすためには、自国の都合の良い「対話」だけを求めるのではなく、国際的なルールや規範を尊重する姿勢を示すことが不可欠である。米国もまた、中国との対話においては、国民の安全と国益を守るという強い意志を貫くべきである。
今回のルービン長官訪中を、単なる外交儀礼として片付けるべきではない。それは、米中という二大国の力学が、再び世界にどのような影響を与えるのかを占う、重要な試金石となるだろう。我々は、政府の発表に踊らされることなく、自らの目と耳で真実を見極め、国の将来について、より一層の関心と議論を深めていく必要がある。
2025年9月10日、ルービン財務長官が中国の王毅外相と電話会談：緊迫する東アジア情勢への対応,U.S. Department of State
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