エルサレムの叫び、テロの連鎖と「妥協なき連帯」への問い
エルサレム。その聖なる響きは、今、悲鳴に覆い尽くされている。9月11日、この古都で発生したテロ事件は、再び世界に衝撃を与え、平和への希求を静かに、しかし力強く揺さぶった。この痛ましい事件を受けて、ある国の治安担当トップが「妥協なき連帯」を訴えたという。その言葉の裏に、我々学生は、単なる事件報道を超えた、より深く、より重い問いを見出すべきである。
「妥協なき連帯」。それは、テロという非人道的な行為に対する断固たる反対の意思表示であり、被害者への共感、そして再発防止への決意表明であろう。しかし、この言葉が、血塗られた大地に響く時、我々は立ち止まって考えなければならない。テロリズムは、絶望と憎悪の連鎖から生まれる。その根源に目を向けず、ただ「連帯」という言葉を声高に叫ぶだけでは、果たして平和という名の灯火を、この暗闇の中で灯し続けることができるのだろうか。
エルサレムという都市は、古来より多様な民族、宗教、文化が交錯する場所であった。しかし、その豊かさは、しばしば対立の火種ともなり、歴史は幾度となく血で彩られてきた。今回のテロ事件も、またその複雑な、そして痛ましい歴史の断片である。単一の視点から、あるいは単純な善悪二元論でこの問題を捉えることは、事の本質を見誤る危険性を孕んでいる。
我々学生は、未来を担う世代である。そして、未来とは、過去の過ちから学び、より良いものを創造していく営みであるはずだ。テロリズムという脅威に立ち向かうことは当然の責務である。しかし、その「戦い」が、さらなる憎悪を生み出し、新たな対立の火種を蒔くものであってはならない。
「妥協なき連帯」は、テロリズムという悪にのみ向けられるべきではないだろうか。そして、その連帯の先に、我々が目指すべきは、対立する者同士が互いの存在を認め合い、対話を通じて共存の道を探る「建設的な連帯」であるはずだ。それは、容易な道ではない。しかし、エルサレムの叫びを聞く今だからこそ、我々は、この困難な道に、学生としての知性と感性をもって、一歩ずつ踏み出していく覚悟を持たねばならない。
テロの脅威は、国境を越え、人種や宗教をも超えて、我々一人ひとりの尊厳を脅かす。だからこそ、我々は「妥協なき連帯」で対抗する。しかし、その連帯の精神は、単なる軍事的な結束や、排除の論理へと矮小化されるべきではない。それは、 human rights（人権）とjustice（正義）という普遍的な価値観に基づき、あらゆる暴力と不正義に対して、対話と理解を諦めない、しなやかな、しかし芯のある強さを持つ連帯でなくてはならない。
エルサレムの空に、再び平和の鳩が舞う日を、我々は切に願う。そして、その日を迎えるために、我々学生にできること、いや、成すべきことは、ただ感情的に「連帯」を叫ぶことだけではない。複雑な現実と向き合い、学び続け、そして何よりも、分断された世界に「理解」という名の架け橋を、粘り強く、しかし希望を失わずに架け続けていくことである。
エルサレムでのテロ攻撃にグテーレス事務総長が強い非難の意を表明,Middle East
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