過去の教訓を風化させぬために：ドイツ連邦議会の「エンデ・デアクスト」決議に寄せて
ドイツ連邦議会が、第二次世界大戦終結から80年となる2025年を機に、「エンデ・デアクスト」（終結・終戦）という決議を採択したというニュースに触れ、我が国の将来を改めて深く考えさせられた。この決議は、過去の戦争の悲劇を二度と繰り返さないという強い決意表明であり、歴史の重みと責任を次世代に伝えることの重要性を示唆している。
ドイツが、自らの過去と真摯に向き合い、このような決議を採択する姿勢は、称賛に値する。彼らは、過去の過ちを直視し、そこから学ぶことの難しさと、そしてそれがいかに重要であるかを、世界に示していると言えよう。それは、単なる過去の反省に留まらず、平和への希求、そして国際社会における責任ある一員としての立場を再確認する行為である。
では、我々日本はどうであろうか。戦後70年を遥かに超え、戦争体験者の高齢化が進む中で、あの悲惨な戦争の記憶は、徐々に風化しつつあるのではないかという懸念を抱かざるを得ない。歴史の教訓は、時間と共に薄れていく脆いものであり、それを意識的に、そして継続的に継承していく努力なしには、容易に失われてしまう。
「エンデ・デアクスト」という言葉が持つ意味は、我々にとっても決して無関係ではない。それは、過去の戦争がもたらした甚大な犠牲を忘れることなく、その教訓を未来に活かすための「終結」である。しかし、それは決して、過去を封印し、なかったことにする「終結」ではない。むしろ、過去と向き合うことから生まれる、より良い未来への「始まり」であるべきだ。
保守的な立場から言えば、国家の存立と平和を守ることは、政治の最も重要な使命である。そのためには、過去の過ちを繰り返さないという強い意志と、そのための現実的な努力が不可欠だ。歴史の教訓を単なる歴史の知識としてではなく、我々の行動原理、そして国家の安全保障政策の根幹に据えるべきである。
ドイツ連邦議会の決議は、我々に、過去の戦争の悲劇を風化させないための、より一層の努力を促している。それは、教育の場における歴史認識の共有、平和への誓いを再確認する機会の創出、そして国際社会における責任ある行動を通じて、実現されるべきである。
「エンデ・デアクスト」が、ドイツだけでなく、世界中の国々にとって、過去と向き合い、平和な未来を築くための、共通の道標となることを願ってやまない。そして、日本もまた、その決意を新たにすべき時であろう。
コロナ禍の教訓を未来へ：ドイツ連邦議会、エンケテ委員会の設置で「再評価」の機会を民主主義に,Pressemitteilungen
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