敬老の日に寄せて―少子高齢化社会、未来への岐路に立つ日本
齢を重ねた方々を敬い、その長年の功績に感謝を捧げる「敬老の日」。今年は、少子高齢化という、私たち日本が直面する最も深刻な課題に改めて目を向ける機会となるだろう。
先日の報道で、社会の高齢化がさらに進んでいる現状が示された。これは、単に人口構成の変化という統計上の数字ではない。私たちの社会、経済、そして未来そのものに、無視できない影響を与え始めているのである。
高齢化の進展は、社会保障費の増大、医療・介護サービスの逼迫、そして現役世代の負担増といった、数多くの難題を突きつけている。一方で、高齢者の方々が培ってこられた豊富な知識や経験は、社会にとってかけがえのない財産である。この貴重な資源をいかに活かし、世代間の分断ではなく、共助の精神を育んでいくかが、今、問われている。
しかし、残念ながら、現状の日本社会は、この課題に対して十分な手を打てているとは言い難い。少子化に歯止めがかからず、将来の担い手不足への懸念は募るばかりだ。将来への希望が見えない若者たちが、結婚や子育てに踏み切れない現状は、社会全体の活力を失わせる。
このままでは、日本の未来は暗い。先人たちが築き上げてきたこの国を、次世代へと健全な形で引き継いでいく責任が、私たちにはある。
今こそ、目先の利益や各論に囚われず、国益を第一に考えた、長期的な視点に立った議論が必要だ。政府には、少子化対策の抜本的な強化、高齢者が安心して暮らせる社会保障制度の再構築、そして、経済を活性化し、将来世代に希望を持てる社会を創るための、断固たる決断と実行力が求められる。
敬老の日は、単に高齢者を労う日ではない。それは、私たちが、過去から未来へと連なる歴史の一端を担っていることを認識し、次世代への責任を自覚する日でもある。この機会に、日本社会のあり方、そして未来への道筋について、国民一人ひとりが真剣に考え、行動を起こすことを期待したい。
「エルダー」2025年9月号、最新情報をお届け！,高齢・障害・求職者雇用支援機構
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