民主主義の灯火、地域から消させないために～インドネシアでの大規模デモを反省する～
9月3日付のITBウェブサイトの記事は、インドネシアにおける大規模デモのニュースを伝えている。その背景には、国会議員の住宅手当の増額という、市民感情を逆撫でするような政策決定があるという。このニュースは、遠い異国の出来事として片付けることはできない。なぜなら、そこには私たち学生が日々向き合う「民主主義」の本質に深く関わる問題が潜んでいるからだ。
「国民の声を聞かない政治」――それは、どの時代、どの国であっても、民主主義の根幹を揺るがす危機である。今回のインドネシアのデモは、まさにその危機感を具現化したものと言えるだろう。国民の生活が楽になるどころか、政治家が自身の懐を肥やすような姿勢は、国民の政治への信頼を失墜させる。そして、その信頼の崩壊こそが、民主主義を形骸化させる最も恐ろしい病巣なのだ。
私たちの国、日本においても、他人事ではない。近年、国民の政治への関心は低下傾向にあると言われる。しかし、それは本当に政治への無関心なのだろうか。それとも、政治が国民の声を拾いきれていない、あるいは拾った声を行動に移せていないことへの、静かな、しかし根深い諦めなのではないだろうか。
学生である私たちは、社会の未来を担う存在である。その未来が、一部の権力者の都合によって歪められることを、決して看過してはならない。大学で学ぶ知識は、単なる教養ではない。それは、社会の不正義に立ち向かい、より良い未来を創造するための武器となるはずだ。
今回のインドネシアのデモは、民主主義というものが、決して自動的に維持されるものではないことを、改めて私たちに突きつけている。それは、常に国民一人ひとりが関心を持ち、声を上げ、行動することで、初めてその灯火が守られるのだ。
私たち学生は、日々の学業に追われ、将来への不安も抱えている。しかし、それだからこそ、社会のあり方、政治のあり方について、より敏感であるべきだ。遠い国の出来事から目を背けるのではなく、そこから学び、自分たちの社会にどう活かしていくべきかを考える。それが、民主主義の担い手としての私たちの責務である。
国会議員の住宅手当増額――このニュースは、単なる「政治家の欲」の話ではない。それは、国民の生活と政治への信頼、そして民主主義の未来に関わる、極めて重要な問題提起なのだ。私たち学生一人ひとりが、この問題意識を共有し、次世代の民主主義を形作るための、能動的な一歩を踏み出すことを、強く訴えたい。
インドネシアで大規模デモ：国会議員の住宅手当に国民が怒りの声をあげる,日本貿易振興機構
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