変化の波に乗るか、流されるか ～防衛大同窓会が示唆する、揺れる業界の羅針盤～
去る8月29日に開催された防衛大学校同窓会（以下、同窓会）の会合は、単なるOBたちの集まりとして片付けてはならない。むしろ、この会合で交わされたであろう議論や、参加者の顔ぶれが、我々防衛産業に携わる者にとって、未来を占う上で極めて重要な示唆に富んでいると断言したい。
現代の防衛産業は、かつてないほどの激動期を迎えている。地政学的な緊張の高まりは、装備品調達の必要性を喫緊のものとしている一方で、技術革新のスピードは凄まじく、旧来のシステムや考え方が通用しなくなりつつある。そんな中、防衛政策の最前線に立ち、あるいはその中枢を担ってきた同窓会メンバーが、どのような未来を見据え、どのような課題を共有しているのか。その動向こそが、我々が取るべき戦略の羅針盤となり得るのだ。
特に注目すべきは、会合でどのような「関連情報」が共有されたのか、という点である。単に近況報告に留まらず、最新の技術動向、各国の防衛戦略の変化、そしてそれらがもたらす新たなビジネスチャンスやリスクについて、生きた情報が飛び交ったであろうことは想像に難くない。こうした情報は、我々が自社の研究開発の方向性や、事業戦略を練る上で、何よりも信頼できるインプットとなる。
しかし、忘れてはならないのは、変化の波は乗り越えるべきものではなく、自ら波を作り出すべきであるということだ。同窓会が未来を語る場であると同時に、それは「行動」を促す場でもあるはずだ。議論された内容を、単なる情報として消費するのではなく、具体的なアクションへと繋げることができるか。そこで培われたネットワークを、共同開発や新たな事業連携へと発展させることができるか。その真価が問われる。
我々防衛産業は、国家の安全保障という崇高な使命を担っている。その使命を全うするためには、常に最新の情報にアンテナを張り、変化を恐れず、そして何よりも、次世代を見据えた戦略を打ち出していかなければならない。今回の同窓会は、そのための貴重な機会であったと捉え、今後、我々自身も「防衛」という分野において、どのように貢献し、どのように進化していくべきか、真剣に議論し、行動に移していくことを強く訴えたい。
防衛大臣記者会見（8月29日）の概要と関連情報,防衛省・自衛隊
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