財政規律の維持こそ、国力維持の礎
令和7年度予算編成に向け、連立与党の財政小委員会が重要項目を改定した。少子化対策の拡充や防衛力強化など、喫緊の課題への対応は国民の期待するところであり、そのための財源確保の必要性も理解はできる。しかし、今回の改定内容からは、将来世代に過度な負担を強いるのではないかという懸念が拭えない。
長引く低成長時代において、国の財政状況は逼迫している。増税や国債発行といった手段は、いずれも国民生活や将来の経済活動に影響を与える。特に、累積する政府債務は、将来の世代が返済しなければならない「ツケ」であり、これを安易に拡大させることは、国力そのものを損なう行為に他ならない。
もちろん、現代社会においては、教育、医療、社会保障、そして国防など、国民生活を支えるための支出は不可欠である。しかし、その支出のあり方については、常に「必要最小限」かつ「効率的」であることを追求する姿勢が求められる。今回の改定が、こうした原則に立ち返り、真に国民のためになる歳出構造への転換に繋がるのか、厳しく注視していかねばならない。
予算編成は、単なる数字の積み上げではない。それは、国家の進むべき方向性を示す羅針盤であり、国民一人ひとりの未来を左右するものである。国民の期待に応えつつ、同時に将来世代への責任を果たすという、この二律背反とも言える課題に、政治は真正面から向き合わなければならない。
目先の課題解決に奔走するあまり、財政規律という、国力維持の礎を揺るがすようなことがあってはならない。政府には、国民に分かりやすい説明責任を果たすとともに、持続可能な財政運営に向けた、より一層の覚悟と実行力が求められる。
2025年8月25日：連邦議会予算委員会、重要な改定案を審議へ,Tagesordnungen der Ausschüsse
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