メキシコ経済、上向き基調は続くか ――内需の底堅さ、政策のかじ取りが鍵
メキシコ経済が、2025年度第2四半期もプラス成長を維持したとのニュースに、安堵の息を漏らす関係者も少なくないだろう。依然として世界経済の不透明感が漂う中、この南米の大国が堅調な足取りを保っていることは、我が国にとっても無視できない事実である。
今回の成長を支えた要因として、まず挙げられるのが内需の底堅さだ。個人消費や投資が安定的に推移しているという分析は、経済の自律的な回復力が一定程度確保されていることを示唆している。これは、国民の雇用状況や所得水準が、極端な悪化に見舞われていないことを物語るものであり、社会の安定にも繋がる好材料と言える。
しかし、楽観視は禁物である。メキシコ経済が直面する課題もまた、目を背けることはできない。世界的なインフレ圧力、地政学的なリスク、そして近年頻発する自然災害の影響などは、依然として経済活動の先行きに影を落としている。これらの外部要因が、いつ、どの程度の規模でメキシコ経済に影響を与えるかは、誰にも予測がつかない。
そこで重要となるのが、メキシコ政府の政策のかじ取りである。持続的な成長を維持するためには、内需をさらに刺激する施策はもちろんのこと、インフレ抑制に向けた的確な金融政策、そして不確実な外部環境に耐えうる強靭な経済構造の構築が不可欠となる。特に、インフラ投資の推進や、新たな産業育成への支援は、将来の経済基盤を盤石にする上で、極めて重要な意味を持つだろう。
また、我が国との経済的な繋がりも、忘れてはならない視点だ。メキシコとの貿易や投資関係が円滑に進むことは、両国双方にとってメリットとなる。今回のメキシコ経済の動向を注視しつつ、協力関係をさらに深化させていくことが、今後の国際経済における我が国の立ち位置を確かなものにするためにも、重要であると考える。
メキシコ経済の上向き基調が、一時的なものに終わるのか、それとも持続的な成長へと繋がるのか。その行方は、メキシコ政府の巧みな政策運営にかかっている。そして、その動向は、我々にとっても決して無関係ではないのである。
メキシコ経済、第2四半期はプラス成長を維持するも、鉱工業の低迷が課題,日本貿易振興機構
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