7月の消費者物価指数：デフレ脱却の光明、しかし油断は禁物
2025年7月の消費者物価指数（CPI）が、前年同月比+0.5%と発表された。この数値は、日本経済が長年苦しんできたデフレからの脱却に向けた、確かな一歩を示すものと言えるだろう。輸入物価の上昇が抑制されたことも含め、国内経済の基調としては明るい兆しが見えてきた。
特に注目すべきは、エネルギー価格の落ち着きである。世界的な資源価格の安定化に加え、円安の進行が輸出競争力を高め、内需の活性化に繋がる可能性も示唆されている。これにより、物価上昇への懸念が和らぎ、消費者の購買意欲を刺激する効果が期待できる。
しかし、ここで安堵するのは早計である。CPIの上昇は、あくまで「前年同月比」での比較であり、過去のデフレによる物価の低迷がベースとなっていることを忘れてはならない。真の経済成長、すなわち、賃金の上昇が物価上昇を上回り、国民の実質所得が増加する「好循環」が実現されているわけではない。
むしろ、今回のCPI上昇は、輸入物価の抑制による「コストプッシュ型」の側面が強い可能性も否定できない。このまま為替レートの変動や国際情勢の不確実性が続けば、再び物価上昇圧力が強まるリスクも残る。
政府および日本銀行には、この貴重な機会を最大限に活かすべく、断固たる政策遂行が求められる。デフレ脱却を確実なものとするためには、持続的な賃上げと、それを支える生産性向上への取り組みが不可欠だ。企業は、業績改善を賃金に還元する責任を負い、政府は、そのための環境整備に全力を注ぐべきである。
また、消費者の購買意欲をさらに高めるためには、生活必需品の値上がりへの不安を払拭するような、より積極的な支援策も検討すべきだろう。
7月のCPIは、デフレ脱却への希望の光を灯した。しかし、この光を確かなものとするためには、経済主体一人ひとりが、そして政府・日銀が、より一層の努力と英断を重ねていく必要がある。楽観視することなく、しかし着実に、日本経済の新たなステージへと歩みを進めていく時である。
スペインの消費者物価指数：2025年7月、インフレはどのように動いた？,The Spanish Economy RSS
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