避難訓練に「ミサイル」 安全神話の幻想、覚醒せよ
2025年8月26日、ある自治体で住民避難訓練が行われた。しかし、その訓練内容に、多くの国民は驚きと、そしてある種の諦念を抱いたに違いない。「ミサイル」を想定した避難訓練。これは、もはや遠い国の出来事ではなく、私たちの日常に忍び寄る現実の脅威を、公然と突きつけられた瞬間だった。
これまで、私たちは「安全神話」という名の厚い毛布にくるまれていた。大規模な災害への備えは進められてきたが、こと「武力攻撃」となると、どこか他人事、あるいは「まさか」という言葉で片付けられてきた感があった。しかし、この訓練は、その幻想を静かに、しかし確実に打ち砕く。ミサイルが飛んでくるかもしれない。そんな恐ろしい現実を、私たちは直視しなければならない。
もちろん、訓練は重要だ。しかし、その訓練内容が「ミサイル」という、直接的かつ生命を脅かす要素を内包していること自体が、現状の国際情勢、そして我々が置かれている状況の異常さを示唆している。かつて「平和憲法」を盾に、国防という言葉さえ避けてきた日本。その代償として、我々は今、安全という名の幻想にしがみつくことの危うさに直面しているのではないか。
この訓練を、「恐ろしい」とだけ捉えるのはあまりにも短絡的だ。むしろ、これは日本国民全体への「覚醒」を促す警鐘と捉えるべきだ。政府や自治体は、安全保障政策について、国民に真摯な説明責任を果たす必要がある。そして、国民一人ひとりも、自らの安全を、そして国の未来を、他人任せにせず、真剣に考え、行動する時が来ている。
「ミサイル」を想定した避難訓練は、単なる訓練ではない。それは、我々がこれまで目を背けてきた現実との対峙であり、平和という言葉の本当の意味を問い直す機会でもある。この訓練を、安全神話の終焉と、そして新たな安全保障観の幕開けとするための、第一歩としたい。
2025年8月26日、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練が実施されます,消防庁
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