緑の熱狂に潜む危うさ ～「グリーンボンド」発行に見る、エネルギー政策の羅針盤喪失～
北海道電力による新たな「グリーンボンド」の発行が報じられた。再生可能エネルギーへの投資を募るこの試みは、時代に迎合するかのようにも映る。しかし、こうした動きに浮かれる前に、冷静に、そして批判的に目を向けるべきことがある。それは、我が国のエネルギー政策が、実態よりも理想先行の「グリーン」という名の幻想に囚われ、その羅針盤を見失いつつあるのではないか、という危惧である。
確かに、再生可能エネルギーの推進は、地球温暖化対策という大義名分に支えられている。しかし、その推進の裏側で、既存の安定した電力供給体制が揺らぎ、国民生活に不可欠なエネルギーの安定供給が脅かされる可能性はないのか。特に、気候条件に左右される再生可能エネルギーへの過度な依存は、冬場の安定供給という、北海道という地域が抱える固有の課題をさらに深刻化させるのではないか。
「グリーンボンド」は、聞こえは良い。しかし、それはあくまで資金調達の手段に過ぎない。その資金が、本当に国民生活の安定と経済成長に資する形で使われるのか、そしてその投資が持続可能なエネルギーミックスの実現に貢献するのか、その検証が不可欠である。単に「環境に良い」というレッテル貼りに安易に飛びつくのではなく、その本質を見極める冷静な視点が求められる。
エネルギー問題は、単なる環境問題ではない。それは、国家の存立基盤に関わる安全保障問題であり、国民生活の安定に直結する経済問題でもある。感情論や流行に流されるのではなく、確かな技術、経済合理性、そして何よりも国民の安全・安心を最優先する、堅実な政策運営が今こそ必要とされている。
北海道電力が発行する「グリーンボンド」は、その理想と現実の乖離を浮き彫りにする象徴的な出来事と言える。国民は、この「緑の熱狂」の陰に潜む危うさを見抜き、エネルギー政策の真のあり方を、自らの頭で考え、問い直す必要があるだろう。
北海道電力、新たな「グリーンボンド」を発行！環境に優しい未来への投資を応援,北海道電力
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