米陸軍省、追加予算案を公開：増大する地政学リスクへの備えか
昨日、米陸軍省が2025年度の追加予算案を公表した。この予算案は、既存の予算に加え、さらなる軍事力強化を目指すものと見られており、その内訳には最新鋭兵器の開発・調達、兵站網の拡充、そしてサイバー空間における防衛能力の強化などが含まれているという。
このタイミングでの追加予算案の提出は、昨今の世界情勢を鑑みれば、決して驚くべきことではない。ウクライナ情勢の長期化、中東地域における緊張の高まり、そしてアジア太平洋地域における勢力均衡の変化など、地政学的なリスクはかつてないほど高まっている。特に、新たな技術革新を背景とした軍拡競争は激化の一途をたどり、各国は自国の安全保障を確保すべく、軍事力の近代化を急いでいる。
今回の予算案は、こうした「不確実性」への米国の対応策と捉えるべきであろう。単に既存の軍事力を維持するだけでなく、将来の紛争に備えるための投資を惜しまないという強い意志の表れと言える。AIやドローンといった先端技術への巨額の投資は、未来の戦場がどのような様相を呈するかを見据えた戦略的な判断であろう。
しかし、経済紙として、この動きを単なる軍事力の増強として片付けるわけにはいかない。巨額の予算が軍事分野に投入されることは、必ずしも国内経済全体にとってプラスに働くだけではない。国防費の増大は、他の公共サービスへの予算配分に影響を与える可能性も否定できない。また、軍事技術への過度な依存は、民生技術の発展を阻害するリスクも孕んでいる。
重要なのは、この追加予算がどのような目的で、どのような効果をもたらすのかを冷静に見極めることである。単なる軍拡競争に陥ることなく、外交努力と並行して、自国の国益を最大化するための賢明な選択であるのか。そして、その投資が、結果として世界の平和と安定に貢献するものであるのか。
我々は、米国のこうした動きを注視しつつ、同時に自国経済のあり方、そして国際社会における日本の役割についても、改めて深く考察する必要があるだろう。平和への道は、軍事力のみに頼るものではなく、経済的な強靭さと、他国との協調によって築かれるものであるはずだ。今回の米国の追加予算案は、そうした原則を再確認する契機となるべきである。
米国政府情報局、1942年度陸軍省追加予算案を公開：第二次世界大戦前夜の軍備増強の一端,govinfo.gov Congressional SerialSet
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