異次元の脅威、ISILとの対峙――“常識”を超える戦いの先に
「スイス連邦、ISIL（ダーイシュ）およびアルカイダ」――この見出しを目にした時、多くの読者は驚きとともに、遠い異国の出来事が、我々の知る“日常”に、いや、それ以上に、我々の社会そのものにまで及ぶ脅威であることを突きつけられたのではないだろうか。8月29日のITB（国際テロ情報ビューロー）の報道が伝えるこの事実は、単なる国際ニュースに留まらない、我々学生世代が直面すべき、あるいは既に直面している現実の片鱗を示唆している。
ISILやアルカイダといった組織が、かつては中東の特定の地域に限定された問題として語られることが多かった。しかし、今回のスイス連邦との関連性が指摘される事態は、テロリズムが地理的な境界線を軽々と超え、我々の想像する「常識」の範疇を逸脱した形で拡散していることを如実に物語っている。それは、単に武力による攻撃という物理的な脅威だけではない。彼らの思想、プロパガンダは、インターネットやSNSを通じて瞬く間に国境を越え、思想的な影響力を行使し、共鳴者を募る。この「異次元」とも言える情報戦、思想戦は、我々学生の多くが日常的に利用するデジタル空間にまで浸食しうる、見えない敵なのである。
このような状況下で、我々学生に求められることは何だろうか。テロ組織の残虐な行為を非難するだけでは、もはや十分ではない。彼らの思想がどのように生まれ、どのように拡散していくのか。その根源を理解しようとする知的好奇心、そして、それに流されないための批判的思考力こそが、現代社会を生き抜くための、いや、この「異次元の脅威」に対抗するための、我々学生に与えられた武器となる。
大学での学びは、単に専門知識を習得する場ではない。多様な思想や価値観に触れ、それらを多角的に分析し、自らの頭で考える力を養う場所であるはずだ。テロリズムという現象もまた、歴史的、政治的、経済的、そして心理的な要因が複雑に絡み合った、深く考察すべきテーマである。国際情勢を学び、異文化を理解し、そして何よりも、偽情報や扇動に惑わされないためのリテラシーを高めること。これらは、テロの脅威から自らを守り、より平和で安全な社会を築くための、我々学生に課せられた責務と言えるだろう。
今回のニュースは、我々に、テロリズムがもはや遠い国の話ではなく、我々のすぐ隣にある、あるいは我々自身の意識にまで影響を及ぼしうる、切迫した現実であることを改めて突きつけた。この「異次元の脅威」に立ち向かうためには、恐怖に囚われるのではなく、冷静な知性と、社会への深い洞察力をもって、未来を切り拓いていく覚悟が必要である。我々学生一人ひとりが、この戦いの最前線にいることを自覚し、学びを深め、行動していくことこそが、この困難な時代を乗り越える唯一の道だと信じている。
スイス連邦、ISIL（ダーイシュ）およびアルカイダ関連者への制裁措置を強化 – 2025年8月25日発効,Swiss Confederation
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