市民の声、市政の羅針盤に
市政広報誌「市民のひろばおかやま」が、創刊以来初の表紙モデルに一般市民を起用したというニュースに接し、一抹の感慨を覚える。これは、市政と市民との距離を縮め、より開かれた行政を目指すという、健全な方向性を示すものと言えよう。
広報誌の役割は、単に行政の活動を伝えることに留まらない。それは、市民の声に耳を傾け、市政への理解と関心を深めるための架け橋でもある。今回の表紙モデル起用は、まさにその役割を再認識させる象徴的な出来事と言える。これまで、広報誌の顔といえば、市長や市議会議員、あるいは市政に関わる専門家といった「公的な顔」が主であった。しかし、地域社会を構成し、市政を支えているのは、紛れもなく「市民一人ひとり」である。その日常の営み、喜怒哀楽、そして市政への意見こそが、市政をより良くしていくための礎となるはずだ。
もちろん、市政運営においては、専門的な知識や経験に基づいた判断が不可欠であり、そこには首長や議員、職員の役割がある。しかし、その判断が市民の現実から乖離してしまっては、市政は独りよがりなものとなりかねない。広報誌が市民の顔を前面に打ち出すことは、こうしたリスクを回避し、市政の運営に市民の視点を常に取り込むことの重要性を、改めて私たちに気づかせてくれる。
今回の試みが、単なる一過性のイベントで終わることなく、市政運営全般において、市民の声がより一層尊重され、政策決定のプロセスに反映されていく契機となることを期待したい。広報誌の表紙に、地域で生活する多様な市民の姿が並ぶようになれば、それは岡山市民の誇りにもつながるだろう。市政は、市民と共に創り上げていくものである。その基本に立ち返る、今回の広報誌の新しい試みに、静かながらも力強いエールを送りたい。
岡山市から市政情報誌「市民のひろばおかやま」2025年9月号をお届けします！～地域の魅力と市政の取り組みを詳しくご紹介～,岡山市
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