ドイツ連邦議会 環境委員会：バッテリー規制、実効性あるか冷静な議論を
ドイツ連邦議会環境委員会が、バッテリー規制強化を検討しているというニュースに接し、我々はその動向を注視している。電気自動車（EV）の普及が加速する中、バッテリーの持続可能性、リサイクル、そして資源確保は喫緊の課題であることは論を俟たない。しかし、今回の規制強化案には、その実効性や、産業界への影響について、冷静かつ慎重な議論が求められる。
報道によれば、今回の規制強化は、バッテリーのライフサイクル全体にわたる環境負荷の低減を目指すものだという。原料採掘から製造、使用、そして廃棄・リサイクルに至るまで、各段階での環境配慮を義務付ける方向性は、理想としては理解できる。EVシフトという世界的な潮流の中で、ドイツが環境先進国としてのリーダーシップを発揮しようとする姿勢は評価に値する。
だが、ここで我々が忘れてはならないのは、経済活動との両立である。革新的な技術開発を奨励し、国内産業の競争力を維持・向上させることは、国民生活の安定に不可欠だ。あまりにも過重な規制は、企業の負担を増大させ、結果としてEVの価格上昇を招き、消費者の選択肢を狭める可能性も否定できない。また、海外からのバッテリー輸入に頼らざるを得ない現状において、自国の産業基盤を弱体化させるような施策は、戦略的な観点からも再考が必要であろう。
特に、バッテリーのリサイクル技術の確立と普及は、今後の重要な鍵を握る。委員会がどのようなリサイクル目標や基準を設けるのか、そしてその達成に向けた具体的な支援策が講じられるのかが、規制の実効性を左右すると言える。単に規制を強化するだけでなく、技術開発への投資や、リサイクルインフラの整備を国家的に推進する覚悟がなければ、絵に描いた餅に終わる恐れがある。
さらに、国際的な協調も不可欠である。バッテリーの原料となる資源は、世界中に偏在している。ドイツ一国だけで、サプライチェーン全体にわたる厳格な規制を課しても、その効果は限定的になりかねない。むしろ、国際的な枠組みの中で、資源の公正な利用や、環境負荷の少ない採掘方法の確立に向けた議論を主導していくことこそ、真のリーダーシップと言えるのではないか。
我々は、ドイツ連邦議会環境委員会に対し、今回のバッテリー規制強化案について、理想論に偏ることなく、現実的な課題を直視し、経済界や消費者といった関係者との緊密な対話を通じて、実効性のある、そして持続可能な政策を導き出すことを期待する。環境保護は、経済発展と対立するものではなく、むしろ両立しうるものであるべきだ。そのための賢明な一歩を踏み出してほしい。
ドイツ連邦議会環境委員会、バッテリー規制に関する公開公聴会を開催,Pressemitteilungen
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