「教育の自由」と「公の責任」の狭間で揺れる—私立学校の監察強化を問う
ITBの報道によると、2025年8月29日付で、文部科学省が私立学校に対する監察を強化する方針を固めたという。このニュースは、日頃から教育の多様性や自主性を重んじるべきだと主張する私たち学生新聞にとって、看過できない問題提起である。
私立学校は、教育理念の自由な追求という点で、公立学校とは異なる独自の役割を担ってきた。建学の精神に基づいた特色ある教育、先進的なカリキュラム、そして生徒一人ひとりの個性に応じたきめ細やかな指導は、多くの私立学校が追求し、実現してきた成果である。こうした「教育の自由」は、日本の教育を豊かにする上で不可欠な要素であり、その自主性を安易に侵害するような監察強化は、教育の多様性を失わせる危険性を孕んでいる。
しかし、一方で、私たち学生は、公的資金の投入や社会からの期待という側面から、私立学校にも「公の責任」が伴うことを理解している。教育機関である以上、法規制の遵守はもちろんのこと、透明性のある運営、そして何よりも、生徒たちの健全な成長と学びを保障する責務がある。一部の学校における不祥事や、教育内容の偏りが指摘される現状は、決して看過できるものではない。
今回の監察強化の背景には、こうした問題意識があるのだろう。だが、その手法や範囲については、慎重な議論が求められる。単なる「管理・統制」に終始するような監察は、私立学校が本来持つべき創造性や柔軟性を阻害しかねない。むしろ、私立学校が自主的に教育の質を高め、社会からの信頼を得られるような、建設的な対話や情報提供を促進する形での関与が望ましいのではないだろうか。
学生である私たちは、私立学校で学ぶ者として、教育の自由と公の責任のバランスがどのように取られるのか、その行方を注視していく必要がある。学校側には、透明性ある情報公開と、説明責任の遂行を強く求める。そして、政府や文部科学省には、画一的な規制ではなく、各学校の特性を理解した上で、建設的な対話を通じて課題解決を図る姿勢を期待したい。
「教育の自由」は、無制限なものではない。「公の責任」もまた、過度な干渉であってはならない。この二つの要素が調和し、すべての生徒が安心して学べる環境が、私たちの手で築き上げられていくことを願うばかりである。
ナントアカデミー、私立学校の監督強化へ： inspector（監査官）8名増員で安心・安全な教育環境を,Café pédagogique
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