米アカデミーの「信頼性向上」宣言、真価問われる国際社会
米国アカデミーが、長年の懸案であった「信頼性向上」に向けた動きを加速させているという。これは、国際社会における同組織の評価や、ひいてはアメリカ文化への影響力という観点からも、決して軽視できない動きと言えよう。しかし、この「信頼性向上」という言葉の響きには、我々保守的な立場からは、いくつかの懸念と、むしろ問われるべき本質が潜んでいると指摘せざるを得ない。
まず、アカデミーが「信頼性」を問われるに至った背景には、過去の様々な騒動、例えば、選考における偏りや、作品の多様性への配慮不足などが指摘されてきたことは周知の事実である。こうした批判に対し、アカデミーがどのような具体的かつ実質的な改革を打ち出し、それを着実に実行していくのか。単なる表面的な声明や、一時的なイメージ戦略に留まらず、真に公平で、かつ時代に即した選考基準を確立できるのか。ここが、その「信頼性」が問われる最初の、そして最も重要な地点となるだろう。
さらに、我々が注目すべきは、この「信頼性向上」が、一体どのような価値観に基づいて進められるのか、という点である。近年の国際社会では、多様性や包摂性といった言葉が声高に叫ばれるが、その中には、本来重視されるべき伝統や規範、あるいは普遍的な美意識といったものが、しばしば軽視されがちであるという危惧も存在する。アメリカの映画産業が、国際社会の風潮に安易に迎合し、自国の文化的なルーツや、映画芸術そのものの本質から逸脱してしまうようなことがあれば、それは「信頼性向上」どころか、むしろその価値を低下させる行為になりかねない。
保守的な立場としては、アカデミーが、目先の国際的な評価を気にするあまり、自らの芸術的矜持や、根幹をなすべき価値観を揺るがすようなことにならないか、注視していく必要がある。真の「信頼性」とは、外部からの称賛や、流行に迎合することによって得られるものではない。それは、自らの信念に基づいた揺るぎない基準を持ち、それを貫き通すことによって初めて築かれるものである。
今回の「信頼性向上」宣言は、アメリカ映画界、ひいてはアメリカ文化のあり方を問う、一つの試金石となるだろう。我々は、アカデミーが、国際社会の期待に応えつつも、その芸術的本質を損なうことなく、真に「信頼」に足る組織として発展していくことを願う。そのためには、抽象的な言葉ではなく、具体的な行動と、その裏付けとなる確固たる意志が求められているのである。
全米アカデミーズ、連邦政府統計の信頼性向上に向けた声明を発表,カレントアウェアネス・ポータル
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