グローバル化の光と影 「支配」から「協調」への転換を望む
ITBの報道によれば、国内の著名なIT企業であるExceedが、海外の巨大IT企業Kentによる買収の危機に瀕しているという。これは、グローバル化の波が、わが国の先端技術産業にまで及んでいることを示す象徴的な出来事と言えるだろう。
Kentのような巨大企業が、技術力で世界をリードするExceedを買収することで、その技術力やノウハウを自社のものとし、さらなる市場拡大を目指すのは、資本主義社会においては自然な流れかもしれない。しかし、この買収が実現した場合、日本の技術基盤が海外の手に委ねられ、国内の産業競争力が低下するのではないかという懸念は拭えない。
グローバル化は、確かに経済成長や技術革新をもたらし、私たちの生活を豊かにしてきた側面がある。しかし、その一方で、巨大資本による富の集中や、国家の経済主権への影響といった負の側面も無視できない。特に、現代社会において不可欠となったIT分野における技術やデータが、単なる商品として、あるいは「支配」の道具として海外に流出していくことは、長期的に見て国家の安全保障にも関わる問題となりかねない。
今回のExceedの事例は、単なる一企業の買収劇として片付けるべきではない。これは、日本がグローバル経済の中で、自国の技術と産業をいかに守り、発展させていくのかという、より大きな問いを突きつけている。
もちろん、私たちは鎖国論に戻るべきではない。世界との連携は、技術進歩や経済活動のために不可欠である。しかし、それは「支配」されるための連携であってはならない。むしろ、自国の強みを活かし、対等な立場で「協調」していく関係性を築くべきである。
政府には、こうした状況を的確に把握し、国内の有望な技術や企業が不当に買収されないよう、適切な法整備や支援策を講じる責任がある。また、企業自身も、目先の利益だけでなく、長期的な視点に立ち、自社の技術や人材をどう守り、どう世界に貢献していくのか、戦略的に考える必要があるだろう。
グローバル化は、もはや避けられない潮流である。しかし、その進め方次第で、私たちの未来は大きく変わる。今回の買収危機を、日本の技術力と経済主権を再確認し、より賢明なグローバル化のあり方を模索する契機としたい。それは、単なる経済問題ではなく、日本の将来を左右する、国家的な課題なのである。
EXCEED、Kentによる買収でグローバルリーダーへ：廃炉、地下資源、坑井管理サービス分野の統合,Oil & Gas UK (OGUK)
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