財政健全化へ、揺るがぬ決意を
加藤財務大臣が、来年度の予算編成後記者会見で、わが国の財政健全化に向けた決意を改めて表明した。長期にわたる低金利環境と、コロナ禍からの経済回復への期待が交錯する中で、将来世代への負担を先送りすることなく、持続可能な財政基盤を築くことの重要性を強調したことは、国民として、また一社会人として、大いに共感するところである。
しかし、その道程は決して平坦ではない。少子高齢化の進展は、社会保障費の増大という、避けては通れない構造的な課題を突きつけている。一方で、増税や歳出削減といった、国民生活に直接影響を与える政策には、常に反対論がつきまとう。だからこそ、政治には、目先の人気取りに流されることなく、長期的な視点に立った、毅然としたリーダーシップが求められる。
加藤大臣の言葉には、そうした困難な状況下にあっても、国民との対話を重ね、理解を求めながら、着実に改革を進めていこうとする強い意志が感じられた。具体策の詳細は今後詰めていくことになるだろうが、重要なのは、まず「財政健全化」という大目標を共有し、そのための痛みを伴う努力にも、国民全体で向き合っていく覚悟を持つことである。
もちろん、経済成長の恩恵を国民全体で分かち合うことも、財政健全化と両輪で進めるべき重要な課題である。しかし、成長だけを追い求め、財政規律を緩めれば、いずれそのツケは必ず回ってくる。過去の経験からも、その教訓は明らかであろう。
今こそ、われわれ国民も、目先の利益にとらわれず、将来世代のため、そして国家の将来のために、財政健全化という喫緊の課題に、真摯に向き合うべき時である。加藤財務大臣の決意が、単なる言葉に終わることなく、具体的な成果に結実することを、心から期待したい。
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