成長への道筋、共感と改革のバランスを
令和7年度（2025年度）の予算編成に向けた連立与党の税制調査会が、8月26日に第10回会合を開いた。政府・与党は、持続的な経済成長と国民生活の安定という、二つの大きな柱を掲げて、この重要な予算編成作業に臨んでいる。社会保障費の増大、少子高齢化の加速、そして国際情勢の不確実性といった構造的な課題に直面する中で、この年度の予算編成は、我が国の将来を左右する極めて重要な局面を迎えていると言えるだろう。
今回の税制調査会での議論も、その重要性を映し出すように、活発かつ多岐にわたったと報じられている。特に注目されるのは、経済成長の原動力となるべき民間投資の促進策と、国民生活の基盤を支える社会保障制度の持続可能性確保という、時に相反する課題への取り組みである。
民間投資の活性化のためには、大胆な減税や規制緩和が不可欠であるという声がある一方で、国家財政の健全化、そして社会保障制度の維持・拡充のためには、安定した財源の確保が急務であるという指摘も根強い。どちらか一方に偏るのではなく、両者のバランスをいかに取るかが、今回の予算編成における最大の焦点となろう。
成長戦略においては、単なる景気対策に留まらない、産業構造の転換を促すような、より本質的な改革が求められている。デジタル化やグリーン化といった時代の要請に応え、新たな産業を育成し、国内における投資と雇用を創出する。そのためには、財政出動だけでなく、民間企業が安心して投資できるような、予見可能性の高い制度設計が不可欠である。
他方、社会保障制度は、少子高齢化という構造的な変化に直面し、その持続可能性が問われている。医療、年金、介護といったセーフティネットを、将来世代も安心して享受できる形へと再構築していくことは、国民全体の共通認識として、早急に取り組むべき課題である。そのための財源確保策についても、国民的な理解を得られるような、丁寧な説明と合意形成が求められる。
連立与党の税制調査会は、まさにこうした、国民生活の安定と経済成長という、二律背反する要求を調和させるための、艱難な議論の場である。一部の意見に偏ることなく、広く国民の声に耳を傾け、将来を見据えた、持続可能な政策を打ち出すことが期待される。
重要なのは、今回の予算編成が、短期的な利益に囚われることなく、中長期的な視点に立ち、国民一人ひとりが希望を持てる未来への道筋を示すものであることだ。成長の果実を一部の層だけが享受するのではなく、広く国民に行き渡るような、共感と改革のバランスの取れた予算編成となることを、切に願う。
2025年8月26日、連邦議会予算委員会の第10回会合開催へ：国民生活に影響する重要議題に焦点,Tagesordnungen der Ausschüsse
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