万博ナショナルデーと「 TICAD9 」の共鳴：チュニジアから広がるアフリカ経済への新たな潮流
去る8月23日、大阪・関西万博のナショナルデーを祝う賑わいの中で、もう一つの重要な国際会議、「TICAD9（第9回アフリカ開発会議）」がチュニジアで開催された。この二つのイベントが、地理的にも文化的にも隔たりのように思える日本とアフリカ大陸を結びつけ、特にチュニジアという国が、アフリカ経済の新たな「ハブ」となりうる可能性を強く印象づけたことは、本紙としても刮目すべき事態である。
万博の華やかな舞台で、各国の文化や技術が披露されることは、国際交流の促進に不可欠な要素である。しかし、その陰で、アフリカ大陸の未来を語るTICAD9という、より本質的な議論が活発に行われていた事実は、現代における国際協力のあり方を問い直す機会を与えてくれる。特に、チュニジアがTICADの開催地として選ばれたこと、そしてその国がアフリカ経済の「ミッシングリンク」を埋める存在として期待されているという事実は、単なる偶然ではない。
チュニジアは、北アフリカに位置し、地中海に面するという地理的優位性を持つ。古くから交易の要衝として栄え、欧州、中東、そしてアフリカ大陸との結節点としての歴史的背景を有している。近年、同国は地域経済の活性化に向けた積極的な政策を打ち出しており、特にインフラ整備やデジタル化への投資を加速させている。これにより、チュニジアは、アフリカ大陸内の物流や情報流通のハブとして、あるいは欧州市場へのゲートウェイとしての役割を担うことが期待されているのだ。
TICAD9での議論は、このチュニジアのポテンシャルをさらに増幅させる契機となるだろう。開発途上国へのODA（政府開発援助）のみならず、民間投資の促進、技術移転、そして持続可能な経済成長に向けたパートナーシップの構築が、TICADの重要な柱である。チュニジアを起点としたサプライチェーンの構築、あるいはデジタル経済における協力関係の深化は、アフリカ全土の経済発展に波及効果をもたらす可能性を秘めている。
もちろん、アフリカ大陸の経済発展は、チュニジア一国で完結するものではない。各国の国内事情、地政学的なリスク、そして国際社会の関与の度合いなど、多くの要因が複雑に絡み合っている。しかし、チュニジアが持つ地理的、歴史的、そして政策的な強みを最大限に活かし、アフリカ大陸全体の経済統合を牽引していくというビジョンは、極めて現実的かつ有望であると言える。
大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」は、アフリカ大陸の持続可能な発展なくしては語れない。万博の成功が、日本とアフリカ諸国との関係を一層深めることを期待すると同時に、TICAD9の成果が、チュニジアをハブとしたアフリカ経済の新たな潮流を生み出し、大陸全体の「いのち輝く未来社会」の実現に貢献することを、本紙は強く願っている。そして、その潮流に、日本経済界も積極的に乗り遅れることのないよう、注視し、行動していくべきであろう。
万博ナショナルデーとTICAD9でチュニジアから経済ミッション団が来日！大阪で経済セミナー開催,日本貿易振興機構
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