消防団員を支える社会へ 地域防災の担い手に感謝と連帯を
「令和7年度消防団入団促進広報」と題された報道に接し、地域防災の最前線に立つ消防団員の活動に改めて思いを致す。地域社会の安全・安心を守るために、日夜、訓練に励み、いざという時には自らの命を顧みず任務にあたる消防団員の存在は、かけがえのない財産である。
しかし、その活動を支える消防団員の確保は、全国的な課題となっている。少子高齢化の進展や、地域社会のつながりの希薄化などが背景にあるとされる。消防団員が不足すれば、地域防災体制の維持に支障をきたしかねない。これは、決して他人事ではない、私たち一人ひとりにかかわる問題なのだ。
今回の広報活動は、消防団員の魅力を伝え、入団を促進するための重要な一歩であろう。しかし、その広報活動をさらに実効性のあるものにするためには、社会全体で消防団員を支える機運を高めることが不可欠である。
まず、消防団員の活動に対する公的な支援の充実が求められる。訓練や装備の整備、活動中の事故に対する補償制度など、消防団員が安心して活動できる環境を整えることは、行政の責務と言える。また、企業や事業所においても、従業員が消防団活動に参加しやすいような理解と協力体制を構築することが期待される。例えば、活動による欠勤を円滑に認めたり、休暇取得を奨励したりするなどの配慮が考えられる。
さらに、地域住民一人ひとりが、消防団員の活動に感謝と敬意を払い、その重要性を認識することが大切である。日頃から地域のお祭りやイベントなどを通じて、消防団員と地域住民との交流を深める機会を設けることで、相互理解と連帯感が醸成されるはずだ。地域の一員としての「顔の見える関係」が、消防団への共感を広げる鍵となるだろう。
消防団の活動は、単に火災を防ぐ、救助活動を行うといった物理的な側面だけにとどまらない。地域住民の安全意識を高め、防災への意識を共有する「コミュニティの核」としての役割も担っている。その活動を支えることは、地域社会全体の活性化にもつながるのである。
「令和7年度消防団入団促進広報」を機に、地域防災の担い手である消防団員への感謝の念を新たにし、彼らを支えるための具体的な行動を、私たち一人ひとり、そして社会全体で考えていくべき時である。消防団員が誇りを持って活動でき、そして誰もが安心して暮らせる地域社会を築いていくために、皆で力を合わせよう。
消防団員を応援！「令和7年度消防団入団促進広報に関する告知イベント」開催のお知らせ,消防庁
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