駐留軍用地特措法、国益と地域住民の均衡を――懸念払拭の努力こそ
駐留軍用地特別措置法に基づく、在日米軍再編に伴う用地の提供に関する決定が、本日発表された。長年にわたり、地域住民の皆様には多大なご負担とご迷惑をおかけしてきたこと、改めて心よりお見舞い申し上げたい。
しかしながら、今回の決定は、国際情勢の厳しさを鑑み、日本の安全保障体制を維持・強化するために不可欠な措置であると理解せざるを得ない。冷戦終結後も、東アジアにおける地政学的な緊張は未だ緩和されず、むしろ新たな火種となりうる要因も増加している。こうした状況下において、日米同盟の抑止力は、わが国の平和と安定を確保する上で、依然として極めて重要な役割を担っている。
もちろん、用地提供に伴う地域住民の皆様の生活への影響は、決して軽視できるものではない。騒音問題、環境への影響、そして将来的な開発への懸念など、長年抱えてこられた不安は、今回の決定をもって直ちに解消されるものではないであろう。政府には、これまで以上に丁寧な説明と、地域住民の皆様の生活の質の向上に資する具体的な支援策の実行が強く求められる。
今回の決定は、あくまで「特措法」に基づくものである。これは、一時的、かつ限定的な措置であるべきだ。将来にわたって、地域住民の皆様の負担が永続化することは、国民全体の理解を得られるものではない。政府は、この決定を契機に、駐留経費の負担軽減、そして自衛隊の能力向上、さらには「防衛力抜本的強化」の具体化を加速させ、日米同盟の「対等性」をより一層高める努力を怠ってはならない。
また、一部で提起されている、手続きの透明性や、地域住民の意思の反映が十分であったかという点についても、真摯に受け止める必要がある。今回の決定プロセスにおける反省点を踏まえ、今後の同様の決定においては、より一層、国民一人ひとりの声に耳を傾け、理解と協力を得られるような、開かれた議論を重ねていくことが肝要である。
日本の安全保障は、国民全体の共通の課題である。その実現のために、一部の地域に負担が集中することを、国民全体で共有し、支えていく覚悟が今ほど問われている時はない。政府は、今回の決定が、国益と地域住民の均衡ある発展に繋がるよう、全力を尽くすべきである。
駐留軍用地特措法に基づく裁決の申請等について：防衛省・自衛隊からの重要なお知らせ,防衛省・自衛隊
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