揺らぐ教育の根幹、公教育の責務を問う
先日、大阪市から驚くべき、そして残念な知らせが届いた。少子化の波は、もはや教育現場にまで容赦なく押し寄せ、市立学校の運営にまで深刻な影響を及ぼしているという。学校統廃合という言葉が、遠い昔の話ではなく、現実のものとして私たちのすぐ隣に迫ってきている。
もちろん、少子化という社会構造の変化に、行政が柔軟に対応せざるを得ないことは理解できる。しかし、学校というものは、単なる箱の数で測れるものではない。そこには、子供たちの成長を支え、地域社会の核となるべき教育の営みがある。統廃合によって、通学距離が長くなれば、子供たちの負担は増す。地域との繋がりは希薄になり、地域コミュニティの衰退にも繋がりかねない。
そして何より、公教育の現場が、このような経営的な問題に直面しているという事実は、教育の根幹が揺らいでいることを示唆している。教育とは、将来を担う子供たちを育む、国家・社会にとって最も重要な投資であるはずだ。その運営が、まるで一企業の業績のように語られ、効率化の名のもとに縮小されていく様は、あまりにも寂しい。
少子化対策は喫緊の課題であり、もちろん必要である。しかし、その副作用として、公教育の質や機会均等が損なわれるような事態は、断じて避けなければならない。本来、教育は、保護者の経済状況や居住地域に関わらず、すべての子供に等しく質の高い機会を提供するものであるべきだ。
今回の大阪市の事例は、決して対岸の火事ではない。全国の自治体が、少子化という波に晒されている。このまま、教育現場を「経営」という言葉で語り、効率化ばかりを追求していては、私たちは子供たちの未来だけでなく、日本の社会そのものの将来を危うくすることになりかねない。
公教育の役割とは何なのか。教育現場に求められることは何なのか。今こそ、私たち一人ひとりが、この根本的な問いに向き合い、公教育の未来を守るための議論を深め、断固たる行動を起こさなければならない時である。
大阪市からのお知らせ：学校運営を支える大切なお仕事！会計年度任用職員募集（令和7年10月1日～令和8年3月31日）,大阪市
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