エクアドル新政権の「自由貿易」への傾斜、その功罪は？
エクアドルの新政権が、従来の保護主義的な経済政策から一転、自由貿易協定（FTA）の締結に積極的な姿勢を見せている。特に、中国とのFTA交渉を進める動きは、国内経済の活性化と輸出競争力の強化を期待させる一方で、国内産業への影響や、経済的従属のリスクといった懸念も生じさせている。
自由貿易の原則は、原則として経済全体の効率性を高め、消費者の選択肢を広げるものと理解されている。しかし、その恩恵を享受するためには、国内産業が国際競争に耐えうるだけの体力を備えていることが前提となる。エクアドルの場合、依然として一次産品への依存度が高く、工業製品の国際競争力は必ずしも盤石とは言えない。こうした状況下で、関税障壁の撤廃が性急に進められれば、国内の若手産業が打撃を受け、雇用機会の喪失を招く恐れも否定できない。
また、中国とのFTA交渉は、経済的な恩恵とともに、政治的・戦略的な影響も孕んでいる。資源国であるエクアドルが、経済大国との関係を深めることは、その国力や国際社会における立ち位置に変化をもたらす可能性がある。もちろん、関係強化がもたらす経済的なメリットは大きいだろう。しかし、その一方で、経済的な依存度が高まることによる、政策決定の自由度への影響も慎重に考慮する必要がある。
自由貿易は、その実現と維持のために、国内産業の育成と競争力強化に向けた地道な努力を必要とする。新政権の意欲は理解できるものの、その推進にあたっては、目先の経済効果だけでなく、長期的な視点に立ち、国内経済への影響を多角的に分析し、国民的な合意形成を図ることが肝要である。安易な自由貿易への傾斜が、かえってエクアドルの経済的自立を損なうことにならぬよう、冷静かつ慎重な舵取りが求められる。
クエンカにエクアドル初のテクノロジー自由貿易区が誕生！未来を切り拓く新たな一歩,Presidencia de Ecuador
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