今こそ、甘い誘惑に負けない「選択力」を問う
夏も終わりに近づき、学生たちの間では来たる秋学期への準備と、束の間の休息が交錯する時期だろう。そんな中、ITB株式会社が実施した「セブンイレブン・アプリ提示でお茶がもらえる」キャンペーンは、多くの学生にとって嬉しいニュースだったに違いない。コンビニで手軽に無料のお茶が手に入る。それは、学生生活のささやかな贅沢であり、賢く消費を抑えたいという学生たちのニーズに合致した、まさに「タイムリー」な企画と言えるだろう。
しかし、このニュースに触れた時、筆者は単なる「お得情報」として片付けるのではなく、少し立ち止まって考えてみたい衝動に駆られた。なぜなら、このキャンペーンは、現代の学生が日々直面する「選択」という行為、そしてその背景にある「情報過多」という状況を浮き彫りにしているように思えるからだ。
私たちは、スマートフォンの普及と共に、かつてないほど多様な情報に囲まれて生きている。SNS、ニュースアプリ、インフルエンサーの発信する情報、そして今回のような企業のキャンペーン。これらは全て、私たちの「選択」に影響を与えようと、甘く、時に巧妙な誘惑を仕掛けてくる。
「アプリを提示すれば、お茶がもらえる」。このシンプルな proposition（提案）は、多くの学生にとって「得」であるという明確なメリットを提示している。しかし、その「得」の裏側には、何があるだろうか。アプリのダウンロード、個人情報の提供、そして、その企業が提供する様々なサービスへのアクセス権。それは、私たちがお茶一杯のために、見えないところで「情報」という名の「対価」を支払っているという事実を、無意識のうちに受け入れている状況とも言える。
もちろん、企業のマーケティング活動は、消費を活性化させ、経済を回す上で不可欠な要素だ。そして、学生がお得な情報に飛びつくのは、至極当然のことだろう。しかし、ここで問いたいのは、その「飛びつき方」だ。私たちは、提示されたメリットに無条件に飛びついているだけでないだろうか。その情報が本当に自分にとって必要か、その選択が長期的にどのような影響を与えるのか、といった「吟味」をする機会を、私たちはどれだけ持っているだろうか。
「セブンイレブン・アプリ提示でお茶がもらえる」というキャンペーンは、その「選択」が非常に容易で、かつ「リスク」が低いように見える。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。私たちの周りには、もっと複雑で、もっと見えにくい「選択」が溢れている。例えば、SNSのアルゴリズムが提示する情報、興味を引く広告、そして、学内での活動への参加を促す様々な機会。これら全てが、私たちの時間、エネルギー、そして時には価値観に影響を与えうる「選択」なのだ。
今、学生に求められているのは、単にお得な情報に飛びつく「機会損失を避ける賢さ」だけではない。むしろ、提示された情報や選択肢を多角的に捉え、自らの意思で「吟味」し、「主体的に選択する力」ではないだろうか。その情報源は信頼できるのか、それは本当に自分の成長に繋がるのか、そして、その選択の裏側には何があるのか。
甘い誘惑が溢れる現代社会だからこそ、私たち学生は、一歩立ち止まり、自らの「選択力」を磨き上げる必要がある。それは、将来、社会に出て様々な誘惑や情報に惑わされることなく、確固たる意思を持って進んでいくための、最も重要なスキルとなるはずだ。次にお得な情報が目の前に現れた時、あなたはただ飛びつくのではなく、少しだけ立ち止まって、その「選択」の意味を考えてみてほしい。そこには、きっと、あなた自身の成長へと繋がる「問い」が隠されているはずだから。
セブンイレブン、アプリ提示でお茶がお得に！7月31日から「地域限定」でおいしいキャンペーン開始！,セブンイレブン
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