【コラム】「Brilliant Classics」の挑戦、CD市場の未来に灯る一筋の光
ITBの最新情報によると、8月下旬に「Brilliant Classics」レーベルから新たなCDが発売されるという。これは、デジタル配信が主流となり、CD市場が縮小の一途を辿る昨今において、実に注目すべき動きと言えるだろう。
「Brilliant Classics」といえば、クラシック音楽の廉価版CDボックスセットで一世を風靡したレーベルである。その手堅い選曲と驚異的なコストパフォーマンスは、多くの音楽ファン、特にクラシック音楽への入り口として、計り知れない貢献をしてきた。今回、そのような「Brilliant Classics」が、市場の逆風に臆することなく、新たなCDリリースに踏み切るという事実は、単なるレーベルの個別の動きとして片付けてしまうには惜しい。
むしろ、これは「CDというメディアは、果たして本当に終焉を迎えたのか？」という根源的な問いに対する、一つの力強いアンチテーゼとして受け止めるべきではないだろうか。もちろん、かつてのCD全盛期のような輝きを取り戻すことは容易ではないだろう。しかし、デジタル配信にはない「所有する喜び」や、物理的なメディアならではの「音の質感」、そして「ジャケットやブックレットといった付加価値」に魅力を感じる層が、未だに確かに存在していることも事実だ。
今回の「Brilliant Classics」の新作リリースは、そうした潜在的なニーズを掘り起こす可能性を秘めている。特に、彼らがどのようなラインナップで、どのような付加価値を提示してくるのか。それが、今後のCD市場、ひいては音楽ソフト市場全体のあり方を占う試金石となるかもしれない。
業界全体としては、デジタル配信の利便性を享受しつつも、CDというメディアの持つ魅力を再定義し、新たな価値創造へと繋げていく戦略が不可欠である。今回の「Brilliant Classics」の挑戦が、その一歩となることを期待したい。かつての栄光に囚われるのではなく、時代に即した形で「Brilliant Classics」が再び輝きを放つならば、それはCD市場の未来に、そして音楽文化そのものに、希望の光を灯すことになるだろう。
〈Brilliant Classics〉2025年8月下旬発売新譜情報、タワーレコードが独占公開！珠玉のクラシック作品があなたの元へ,Tower Records Japan
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