健康ポイントで乗る電車、行政の「お節介」は許容範囲か
大阪府が「健康ポイント」制度を導入し、獲得したポイントで公共交通機関の運賃を一部補助するというニュースが報じられた。日々の運動や健康診断の受診などでポイントが貯まり、それを電車やバスの利用に充てられるという。健康増進という大義名分のもと、府民の健康意識向上と公共交通利用促進を狙う、一見すると好ましい試みと言えるだろう。
しかし、この制度に対しては、一定の懸念も抱かざるを得ない。そもそも、行政が国民の健康増進にどこまで踏み込むべきか、という根源的な問いがある。健康は個人の自己責任の領域であり、それに「ポイント」というインセンティブを設けて行動を誘導することは、ある種の「お節介」とも映る。もちろん、社会保障費の増大が叫ばれる現代において、府民の健康維持は喫緊の課題であろう。だが、その手段が、個人の生活習慣にまで行政が介入する形となると、その是非を慎重に問う必要がある。
「健康ポイント」という名称も、どこか近未来的な響きがあり、実態を覆い隠しているようにも感じる。これは単なる「健康増進」という言葉の裏で、実は国民の行動データを収集し、それを何らかの形で分析・活用しようとする動きではないか、という疑念も払拭できない。プライバシーの問題、そしてデータが悪用されるリスクといった、見過ごすことのできない懸念も存在する。
もちろん、この制度が府民の健康増進に寄与し、結果として医療費の抑制につながるのであれば、それは歓迎すべきことだろう。しかし、その過程で、自由な意思決定の妨げとなったり、あるいは監視されているような感覚を抱かせたりするようであっては、本末転倒である。
行政は、府民の健康を「管理」するのではなく、「支援」する立場であってほしい。そして、その支援は、あくまで府民の自由な意思を尊重する範囲に留まるべきだ。今回の「健康ポイント」制度が、単なる「お節介」に終わるのか、それとも府民の健康と幸福に真に貢献する制度となるのか、その行方を注視していきたい。そして、もしこの制度が広がるのであれば、その運用には最大限の透明性と、府民のプライバシーへの配慮が求められるだろう。
健康ポイントを貯めて、電車に乗ろう！大阪公立大学が新しい機能のニュースを発表,大阪公立大学
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