食品ロス、それは未来への無責任
「もったいない」という言葉は、遠い昔の響きになりつつあるのだろうか。8月、「食品ロス削減月間」という言葉がニュースの見出しを飾った。しかし、その文字が目に飛び込んできた時、多くの学生が抱いた感情は、むしろ「またか」という諦めや、どこか他人事のような空虚さだったのではないだろうか。
食品ロス。それは、私たちが生きるこの社会が抱える、あまりにも身近で、そしてあまりにも醜い現実だ。学校の食堂から、コンビニの棚から、家庭の冷蔵庫から、まだ食べられるはずの食料が、静かに、しかし大量に廃棄されている。この現状は、単なる「無駄」という言葉では片付けられない、未来への無責任に他ならない。
私たちが当たり前のように享受している「便利さ」や「豊かさ」の陰で、どれだけ多くの資源が、どれだけ多くの人々の労働が、そしてどれだけ多くの飢餓に苦しむ人々の希望が、静かにゴミ箱へと消えているのか。この想像力の欠如こそが、食品ロスという問題を根深くしている根源ではないだろうか。
「自分一人がどうこうしても変わらない」という無力感。それは、この問題に立ち向かう上で、最もたちが悪い敵である。しかし、学生である私たちにできることは、確かに存在する。例えば、大学の食堂での食べ残しを減らす努力。スーパーで割引になった食材を賢く利用すること。そして何よりも、食料品の購入を計画的に行い、無駄なく使い切る意識を持つこと。これらは、決して特別なことではない。日々の生活の中で、ほんの少しの意識改革で達成できることだ。
滋賀県からの「食の安全・安心」というメッセージは、単に食料の品質管理だけを指すものではないはずだ。それは、私たちが口にするものへの感謝の念、そしてそれを育む自然や人々への敬意の表れでもある。食料を無駄にしないことは、この「安全・安心」という言葉に、より深く、より本質的な意味を与える行為なのだ。
食品ロス削減月間は、終わればただの過去の記録となる。しかし、この月間が、私たち一人ひとりの心に、食料を大切にするという意識の種を蒔く機会となることを願ってやまない。その種が、やがて芽を出し、私たちの食生活全体を変える力となることを信じたい。
未来は、決して遠い場所にあるものではない。それは、今、私たちが手にしている食料をどう扱うか、その一つ一つの選択にかかっている。食品ロスをなくすことは、単なる社会貢献ではない。それは、未来の自分たち、そして次世代への、最も誠実な約束なのだから。
8月は食品衛生月間！滋賀県から食の安全・安心を守るための大切なお知らせです,滋賀県
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