未来への航海図 ～サンマの長期漁況予報が示すもの～
7月29日、国立研究開発法人水産研究・教育機構（以下、水産研究・教育機構）から、2025年のサンマの長期漁況予報が発表された。それによると、来年のサンマ漁は、近年の不漁傾向が続く可能性が高いという。このニュースは、私たち学生にとって、単に食卓に並ぶ魚の品薄を意味するだけでなく、地球環境の変化と、それに立ち向かうための私たちの姿勢を問い直す、重要な示唆に富んでいる。
サンマの不漁は、近年、毎年のように報じられるようになっている。その原因は、海洋環境の変化、特に海水温の上昇や、餌となるオキアミの減少などが複合的に影響していると考えられている。私たちが当たり前のように享受してきた豊かな海の恵みが、静かに、しかし確実に失われつつある現実を、このサンマの減少は突きつけているのだ。
しかし、この予報を悲観的に捉えるばかりでは、未来は開かれない。むしろ、この危機感をバネに、私たち学生一人ひとりが、この問題に対して能動的に関わっていくことが求められている。
まず、科学的な知見に基づいた理解を深めることだ。水産研究・教育機構のような専門機関が発表する予報や研究結果に目を向け、サンマの不漁のメカニズムを学び、そしてその解決策を探る努力を惜しまないことが重要だ。インターネット上には様々な情報が溢れているが、信頼できる情報源を見極め、多角的な視点から問題を捉えるリテラシーを養うことが、これからの時代を生きる私たちには不可欠である。
次に、日常生活における意識改革である。食材の調達、消費、そして廃棄に至るまで、私たちの行動一つ一つが、地球環境に影響を与えている。サンマが食卓から姿を消す現実を前に、私たちは「もったいない」という精神を、より一層強く意識する必要があるだろう。地元の食材を大切にすること、食品ロスを減らす努力をすること、そして環境に配慮した消費行動を心がけること。これらは決して特別なことではなく、日々の生活の中で実践できる、しかし、地球の未来を大きく左右する可能性を秘めた行動なのである。
そして、未来への希望を失わないこと。サンマの不漁は、海の生態系全体が抱える問題の一端に過ぎない。この問題に立ち向かうことは、気候変動、生物多様性の喪失といった、より大きな課題に挑むための第一歩となる。私たちが今、できることは限られているかもしれない。しかし、若い世代の情熱と知恵を結集すれば、必ずや新たな解決策を生み出すことができるはずだ。大学での研究活動、ボランティア活動、そして情報発信。私たち学生には、未来を切り拓くための多様な可能性が拓かれている。
サンマの長期漁況予報は、私たちに警告を発している。しかし、それは同時に、未来への航海図を示唆してくれているとも言える。この警告を真摯に受け止め、科学的な知識を深め、日々の行動を意識し、そして未来への希望を胸に、私たち学生一人ひとりが、この困難な状況に立ち向かい、豊かな海を守るための行動を起こしていくことが、今、何よりも強く求められている。
2025年7月29日発表：サンマの長期漁海況予報で、今年のサンマ漁はどうなる？,農林水産省
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