川崎市、未来のまちづくりを語る！「公有財産利活用」に潜む危うさ
川崎市が、将来のまちづくりにおける公有財産利活用の方針を打ち出したという。市民の暮らしを豊かにし、都市の魅力を高めるための前向きな取り組みであると期待したい。しかし、その陰には、安易な公有財産売却がもたらす、予期せぬ落とし穴が潜んでいるのではないか。保守的な一般紙として、この動きに警鐘を鳴らしておきたい。
公有財産とは、文字通り市民の共有財産である。それは、公園や図書館、公共施設といった、市民生活に不可欠な基盤を支えるものであると同時に、地域の歴史や文化を育んできた貴重な遺産でもある。こうした財産を、一時的な財政収入のために、あるいは特定の民間事業者の利益のために安易に手放すことは、将来世代への責任を放棄するに等しい。
もちろん、時代に合わなくなった施設を刷新したり、新たな都市機能を生み出すために、公有財産の活用や見直しは必要不可欠だろう。しかし、その際には、市民の生活への影響、地域コミュニティへの配慮、そして何よりも、その財産が持つ公共性や公益性を損なわないという原則が、何よりも優先されなければならない。
今回の川崎市の発表は、まだ具体的な計画の全容が見えない段階である。だからこそ、慎重な議論が求められる。民間の活力導入は、確かに有効な手段となり得る。しかし、その「活力」が、短期的な利益追求に走り、住民の意向や地域の特性を顧みないものであっては、まちづくりとは言えない。むしろ、地域格差を拡大させ、住民の分断を招く結果になりかねない。
私たちは、過去の教訓を忘れてはならない。かつて、公共施設の民間委託や、売却が、サービス低下や料金高騰を招き、住民の不満を買った事例は枚挙にいとまがない。公有財産は、単なる「資産」ではなく、「未来への投資」である。その価値を最大限に引き出すためには、短期的な効率性だけでなく、長期的な視点に立った、市民全体の利益に資する活用策が不可欠である。
川崎市には、市民の声に真摯に耳を傾け、公開された場での丁寧な説明責任を果たしながら、慎重にこの「未来のまちづくり」を進めていくことを強く求める。安易な「利活用」の誘惑に惑わされることなく、真に市民のための、持続可能なまちづくりを期待したい。
川崎市、未来のまちづくりを語る！「公有財産利活用検討リスト」公開の裏側,川崎市
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