球場争奪戦、熱戦は続く ― 次なる一手は、地域との共存にある
プロ野球、いや、地域経済の未来を左右すると言っても過言ではない球場問題。7月29日に報じられた、ある球団と地域との「第2戦」、それは単なる球場使用権の争奪戦に留まらず、地域活性化のあり方、さらにはスポーツビジネスの持続可能性をも問う、極めて示唆に富む事例であった。
報道によれば、この球団は新たな本拠地として、より大規模な収容能力を持つスタジアムを熱望し、そのために地域との交渉を続けているという。しかし、その交渉は容易ならざる展開を迎えているようだ。地域側は、既存の施設維持や、それを取り巻く環境整備にかかる費用、そして何よりも地域住民の生活への影響を鑑み、球団側の要求に慎重な姿勢を崩していない。
これまでのスポーツ界では、球団の「ホーム」は、あたかも所有物であるかのように扱われがちであった。しかし、現代においては、球場は単なる試合会場ではない。それは地域コミュニティの核であり、経済活動のハブであり、そして何よりも、地域住民の誇りであり、日々の生活の一部なのである。
この球団が目指す「より大きな箱」は、収益性の向上や、より多くのファンを呼び込むための戦略としては理解できる。しかし、その熱意の矛先が、地域との「共存」ではなく、「制約」へと向かっているように見えるのは、筆者だけではあるまい。地域が求めるのは、球団の都合の良いように施設を改修・拡張することだけではない。それは、球団が地域に根ざし、地域と共に発展していくための、より本質的なコミットメントであるはずだ。
過去の成功体験に囚われ、変化を拒む地域側も、また、未来への投資を怠ってはならない。しかし、本来、地域活性化の担い手となるべき球団が、その牽引役ではなく、むしろ地域に負担を強いる存在となってしまっては、本末転倒である。
この「第2戦」が、単なる球場争奪戦の終焉ではなく、地域と球団が共に未来を築くための「再交渉」へと繋がることを期待したい。球団が自らの要求を、地域への「貢献」という視点から見直し、地域が求める「共存」の形を真摯に模索すること。そして、地域側も、スポーツがもたらす経済効果や地域への愛着醸成といった価値を、より積極的に評価すること。
熱戦は、まだ始まったばかりである。この球団が、そして日本のプロスポーツ界全体が、地域との真のパートナーシップを築き、持続可能な成長を遂げるための、新たな一歩を踏み出すことを願ってやまない。
夢の球宴、第2戦はパ・リーグが乱打戦を制す！5本のアーチが飛び交う白熱の試合展開,日本野球機構
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