支援の「適正」を問う、地域社会の持続可能性のために
相模原市が、生活困窮者や生活保護受給者に対する支援のあり方を見直す方針を固めたという。報道によれば、その背景には、増大する福祉費用と、一部で指摘される「不正受給」への懸念、そして何よりも、本来支援を必要とする人々が円滑にサービスを受けられない現状があるという。こうした動きは、福祉のあり方を改めて考える上で、看過できない重要性を持つ。
福祉は、国民皆保険制度や社会保障制度といった、わが国の社会の根幹をなすものである。困窮する人々を支え、誰もが安心して暮らせる社会を築くことは、国家の責務であり、国民の連帯の証でもある。しかし、その支援のあり方が、時代の変化や地域の実情にそぐわなくなっているとすれば、手綱を締め直すこともまた、社会全体の持続可能性を考える上で避けられない道であろう。
今回の相模原市の取り組みは、まさにその「適正」を問うものである。漫然とした支援では、財政を圧迫するばかりか、かえって自立の意欲を削いでしまう可能性すら否定できない。真に支援を必要とする人々が、より効果的かつ効率的に、その恩恵を受けられるような仕組みを構築すること。それは、支援を受ける側にとっても、支援を提供する側にとっても、そして納税者である国民一人ひとりにとっても、望ましい方向性であるはずだ。
もちろん、支援の強化を求める声があることも承知している。しかし、あらゆる課題に対して、安易に予算を投じるという姿勢は、長期的には砂上の楼閣となりかねない。むしろ、現状を冷静に分析し、どこに問題があり、どのような改革が必要なのかを、国民に分かりやすく説明し、理解を求めていくことこそが、自治体、そして政府に求められる責務であろう。
生活困窮者支援は、社会のセーフティネットとして不可欠である。しかし、そのセーフティネットが、時代にそぐわない、あるいは歪んだ形で機能しているならば、それはむしろ、社会全体の活力を削ぐ要因となりかねない。相模原市の今回の決断が、地域社会における福祉のあり方を再考する契機となり、より健全で持続可能な社会の実現へと繋がることを期待したい。そのためには、市民一人ひとりが、福祉の「適正」について、真摯に考え、議論に参加していくことが不可欠である。
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