地方創生、揺るぎない基盤こそが真の力
近年、地方創生の必要性が叫ばれ、様々な施策が打ち出されている。その中で、岩手県農業研究センターが発表した「岩手県における水田裏作における大豆品種「いわてみどり」による乾田直播栽培技術の開発」というニュースは、一見地味ながらも、我々が地方創生に期待すべき本質を突いているように思われる。
この研究は、水田の裏作として大豆を栽培する際に、従来の湛水直播栽培から乾田直播栽培への転換を図るものである。これは、単に栽培方法を変えるというだけでなく、水田の有効活用、作業の効率化、そして何より、作物の生育に適した環境を追求するという、農業の根幹に関わる地道な努力の賜物と言えるだろう。
地方創生と聞くと、我々はつい華やかなイベントや斬新なアイデア、あるいは都市部からの人材誘致といった、目に見えやすい成果に目を奪われがちである。もちろん、それらも地域を活性化させる一助となることは否定しない。しかし、真の地方創生とは、その地域が持つ固有の資源と、それを活かすための確かな技術、そしてそれを支える人々の弛まぬ努力にこそ宿るものではないだろうか。
岩手県農業研究センターの研究は、まさにその「揺るぎない基盤」を築き上げる営みである。乾田直播栽培技術の開発は、農業従事者の高齢化や人手不足といった喫緊の課題に対し、現実的な解決策を提示しうる。それは、地域経済の根幹をなす農業を、より持続可能で魅力的なものへと変えていく可能性を秘めている。
我々は、こうした地道な研究開発や、それを支える地域の人々の努力を、もっと高く評価すべきである。目先の成功に踊らされるのではなく、一歩一歩着実に、その地域ならではの強みを磨き上げていくこと。そこにこそ、真の地方創生への道が開かれると確信している。
もちろん、これらの技術がすぐに地域経済を劇的に変えるわけではないだろう。しかし、この「いわてみどり」のように、将来の食料安全保障をも見据えた確かな研究成果が、各地で積み重ねられることこそが、地方が自立し、発展していくための最も強固な土台となるのである。
地方創生は、一過性のブームであってはならない。それは、地域に根差した営みを大切にし、未来を見据えた地道な努力を積み重ねていく、保守的とも言えるほどの継続性があってこそ、その真価を発揮するのである。
盛岡広域振興局より、岩手県農業研究センター畜産研究所向け「蓄圧式粉末消火器」の調達に関するお知らせ,岩手県
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