稼げるなら何でもいいのか？ 「ビッグモーター不正」に映る、見失われがちな企業倫理
中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険金の不正請求問題は、社会に大きな衝撃を与えた。従業員による組織的な組織不正、さらにはそれを隠蔽しようとするかのような経営陣の対応は、多くの人々の信頼を裏切るものであったと言わざるを得ない。
「稼げるなら何でもいい」。そんな刹那的な金儲け主義が、企業活動の根幹を揺るがしかねない事態を招いたのではないか。今回の事件は、単なる個々の従業員の過ちとして片付けられるものではなく、企業全体の体質、そして経営陣の姿勢が問われている。
もちろん、企業は経済活動の主体であり、利益を追求することは当然である。しかし、その利益追求の過程で、顧客や社会との信頼関係、そして何よりも「人」への敬意を失ってしまっては本末転倒だ。保険金不正請求は、顧客を欺き、保険会社を騙す行為であり、社会全体で築き上げてきた信頼のシステムを蝕む許されざる行為である。
今回の事件を受け、ビッグモーターは経営陣の刷新や再発防止策の実施を表明している。しかし、言葉だけで信頼が回復するわけではない。失われた信頼を取り戻すためには、抜本的な企業文化の変革と、それを実行するための揺るぎない意思が不可欠である。
そして、この問題はビッグモーターだけの問題ではない。社会全体で、企業活動における倫理観とは何か、そして「稼ぐ」ということの本当の意味を改めて問い直す契機とすべきだろう。短期的な利益にとらわれ、長期的な視点や社会的な責任を見失う企業が増えるならば、それは社会全体の活力をも奪いかねない。
企業が社会から信頼され、持続的に発展していくためには、誠実さと透明性、そして何よりも「人」を大切にする企業倫理が不可欠である。今回の事件を、そうした当たり前のことを再確認する機会として、社会全体で共有していくことが求められている。
損保ジャパン、ビッグモーター不正事案への対応状況を公表（その８）,損保ジャパン
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