現代社会と「推し活」：刹那の熱狂に潜む危うさ
近年、若者を中心に「推し活」と呼ばれる文化が隆盛を極めている。特定のアイドルやキャラクターに熱狂し、グッズ購入やイベント参加に多額の費用を投じる。この現象について、あるメディアはHMVのキャンペーンと絡めて、「心ときめく一枚」と好意的に報じている。しかし、こうした刹那的な熱狂に、我々世代が静かに憂慮の念を抱かざるを得ないのは、いたって自然なことではないだろうか。
もちろん、個人の趣味嗜好は尊重されるべきであり、それが経済活動の一端を担うことも否定はしない。しかし、「推し活」の根底にあるものは、一体何であろうか。それは、現実社会における自己肯定感の希薄さの裏返しではないか。SNSなどを通じて、限られた情報の中で理想化された対象に没入し、そこで得られる承認欲求や一時的な高揚感に酔いしれる。しかし、その世界はあくまで構築されたものであり、現実の厳しさとは無縁である。
こうした熱狂に没頭するあまり、本来真剣に向き合うべき学業や仕事、そして身近な人間関係がおろそかになる懸念はないか。また、過剰な消費は家計を圧迫し、将来への備えを疎かにさせる可能性も否定できない。さらに、一度冷めてしまえば、そこにあったはずの情熱は空虚感となり、新たな「推し」を求めて彷徨うことになるのかもしれない。
「心ときめく一枚」という言葉は、確かに魅力的である。しかし、そのときめきが、現実社会で着実に積み重ねていくべき経験や人間関係、そして自己成長といった、より本質的な「ときめき」を阻害するものであってはならない。
我々が若者たちに伝えたいのは、刹那の熱狂に溺れるのではなく、地に足をつけて現実と向き合い、自らの力で人生を切り拓いていくことの尊さである。そして、そのためには、表面的な消費行動に走るのではなく、知的好奇心や探求心を育み、真に豊かで持続可能な「ときめき」を見出す努力を惜しまないでほしいと願うばかりである。
HMVから贈る、心ときめく一枚！「あやしいパートナー」ブロマイドセット（梅原 蓮）登場,HMV
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