信頼への警鐘、そして再生への道
本紙が先日報じた、大手自動車部品メーカーである損保ジャパンのビッグモーター不正事案への対応に関する記事は、業界全体に重く響いている。一連の報道は、単なる一企業の不祥事にとどまらず、サプライチェーン全体、ひいては自動車業界全体の信頼性に関わる根源的な問いを突きつけている。
損保ジャパンは、ビッグモーターの不正請求問題発覚後、当初は情報開示に消極的とも取れる姿勢を見せ、その対応の遅さや透明性への疑問符が業界内外から投げかけられた。その後、事態の深刻さを鑑みてか、調査委員会を設置し、再発防止策の策定を進めていると報じられている。しかし、その過程における同社の姿勢、そして一連の事象がもたらした影響は、我々に多くの示唆を与えなければならない。
自動車業界は、極めて複雑なサプライチェーンによって成り立っている。部品メーカー、完成車メーカー、販売店、そして保険会社。それぞれのプレイヤーが、それぞれの役割を全うし、消費者の信頼の上に成り立っている。今回のような事案は、その信頼の連鎖を断ち切る可能性を孕んでいる。ビッグモーターの不正行為は論外だが、その不正を見抜き、あるいは早期に是正できなかった損保ジャパンの責任もまた、問われるべきであろう。
では、我々業界紙は、この事態をどのように捉え、どのように報じるべきか。単に事件の経緯を追うだけでは不十分である。我々は、この出来事を通じて、業界全体の体質、そして「信頼」という言葉の真の意味を問い直す必要がある。
損保ジャパンは、今回を機に、サプライヤーとの関係性、リスク管理体制、そしてコンプライアプライアンス意識といった、企業活動の根幹を揺るがすような改革を断行しなければならない。それは、同社のためだけではない。業界全体の健全な発展のため、そして何よりも、自動車を愛し、その安全と信頼を信じて購入してくれる消費者のためである。
今、自動車業界は、EV化や自動運転など、大きな変革期を迎えている。このような時代だからこそ、足元にある「信頼」という基盤を揺るがすような事態は、断じて許されるべきではない。損保ジャパンの今回の対応が、単なる一時的な改善に終わるのではなく、業界全体の意識改革、そして真の再生へと繋がることを、我々業界紙は、厳しくも建設的な視点で見守り、発信し続けていく決意である。
損保ジャパン、ビッグモーター不正事案への対応状況を公表（その８）,損保ジャパン
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