災害への備え、今一度襟を正す時
九電管内の広範囲を襲った長崎県南部地震。甚大な被害をもたらしたこの未曽有の災害は、私たちの社会インフラ、とりわけ電力供給網の脆弱性を浮き彫りにした。停電は生活基盤を寸断し、産業活動を麻痺させた。復旧作業に奔走する九電の努力に敬意を表するとともに、今回の事態を謙虚に受け止め、今後の危機管理体制に活かしていくべきである。
地震発生から数日を経てもなお、一部地域では電力供給の制限が続いている。これは、発電所や送電網への被害が予想以上に深刻であることを示唆している。特に、老朽化した設備の更新や、自然災害に強いインフラ整備の遅れが、復旧を遅らせる要因となった可能性は否定できない。
今回の地震は、電力業界全体にとって、改めて危機管理の重要性を再認識させる契機となるはずだ。自然災害はいつ、どこで発生するかわからない。私たちは、常に最悪の事態を想定し、それに対応できる強靭なインフラを構築していかなければならない。
具体的には、以下のような点が急務である。
第一に、設備投資の強化である。老朽化した設備の計画的な更新はもちろんのこと、耐震性・耐候性の向上、さらには分散型電源の導入など、多様なリスクに備えるための積極的な投資が求められる。
第二に、サプライチェーンの強靭化である。発電燃料の安定供給、予備部品の確保、そして災害時の迅速な復旧を支えるための人材育成と組織体制の強化も不可欠である。
第三に、地域社会との連携強化である。停電時の情報伝達、避難所の確保、そして生活支援など、地域住民の安全・安心を守るための連携体制を、より一層強化していく必要がある。
電力は、現代社会の生命線である。その安定供給を確保することは、電力事業者の使命であると同時に、社会全体の責務でもある。今回の教訓を無駄にせず、電力業界全体で襟を正し、将来の災害に備えるための具体的な行動を起こしていくことを強く望む。
九州電力、長崎県南西部地震における川内・玄海原子力発電所の安全を確認,九州電力
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